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オウンドメディアの成功事例:公開情報から読む目的別の作り方

オウンドメディアの成功事例は、目的が違えば真似る点も変わります。サイボウズ式・SmartHR Mag.・となりのカインズさん・北欧、暮らしの道具店・mercanを、各社の公式ページで確かめた事実だけで目的別に並べ、自社に移す手順と、事例の数字の確かめ方を説明します。

オウンドメディアの成功事例:公開情報から読む目的別の作り方

この記事の要点:

  • オウンドメディアの事例は、目的(採用・見込み客や顧客との関係づくり・ブランドや暮らしの提案・商品の販売)で分けて読むと、自社に移せる点が見えます。目的が違う事例の作り方をそのまま真似ても、同じ成果にはつながりません。
  • この記事では、運営会社が公式ページで内容を説明している 5 つのメディア(サイボウズ式、SmartHR Mag.、となりのカインズさん、北欧、暮らしの道具店、mercan)を、公式ページで確かめた事実だけで紹介します。並びは五十音順で、優劣や推薦ではありません。
  • 事例から移しやすいのは、目的の決め方、読者の絞り方、誰が書くか、記事から次の行動への案内の置き方です。予算・人員・ブランドの知名度は移せません。
  • 事例の成果の数字は、発表元・時期・指標の定義を確かめてから使います。まとめ記事に載った数字は、元の発表の時点の値であることが多いためです。

オウンドメディアの事例を読む前に:目的で分ける

オウンドメディアの事例を読むときは、最初にそのメディアの目的を確かめます。オウンドメディアとは、企業が自社で持ち、運営する情報発信の場(ブログ・記事サイト・動画・音声など)のことで、目的によって読者・記事の内容・成果の測り方がまったく変わるためです。

目的主な読者記事の内容の例成果として見るもの(例)
採用入社を考える人社員・チーム・社内の出来事応募、面接での言及、応募者の理解度
見込み客・顧客との関係づくり自社の製品を使う業務の担当者業務の解説、法改正、導入企業の実践メールマガジンの登録、資料請求、問い合わせ
ブランド・暮らしの提案自社の価値観や商品の世界に関心のある人考え方、読み物、専門家の話指名検索、継続して読む人、来店・購入のきっかけ
商品の販売商品を探している人商品の使い方、選び方、暮らしの中での使われ方購入、再訪

2026年10月13日に Ahrefs(日本)で「オウンドメディア 成功事例」の検索結果を確かめたところ、ページの URL がある結果 14 件のうち 11 件は、「15選」「14企業」「8社」のように紹介する事例の数を題名に入れた記事や動画でした。数を並べた一覧は多くの名前に触れられる一方で、目的の違う事例が同じ一覧に並びます。この記事では事例の数を絞り、目的ごとに、自社に移せる点と移せない点を分けて説明します。オウンドメディアそのものの定義と始め方は「オウンドメディアとは」で説明しています。

事例の比較表:目的・読者・記事の型

5 つのメディアを、運営会社の公式ページで確かめられた内容で比べました。「目的」の列は、公式ページに目的が書かれている場合はその表現を、書かれていない場合は公開ページで観察できる特徴を書いています(2026年10月13日確認)。

メディア(運営)目的(公式の表現、または観察できる特徴)主な読者・テーマ記事の型
サイボウズ式(サイボウズ)「チームワークあふれる社会を作るサイボウズのメディア」(サイトの説明文)会社や組織のあり方、働き方・生き方対談・インタビュー・読み物、動画のチャンネル
SmartHR Mag.(SmartHR)人事・労務に関わる人を支援する情報を届ける(公式の紹介ページ)人事・労務の担当者トレンド・専門家の見解、法改正、企業の実践事例、利用企業の声
となりのカインズさん(カインズ)「ホームセンターCAINZが運営する、おせっかいなメディア」(サイトの説明文)DIY・ペット・日用品・園芸など、暮らしづくりに関心のある人専門家・作り手・利用者・社員が書く読み物、ポッドキャスト
北欧、暮らしの道具店(クラシコム)商品の販売と、記事・動画・音声などのコンテンツを一つのサイトで提供(運営会社の説明)暮らしの道具や生活に関心のある人読み物、動画、音声、商品の紹介
mercan(メルカリ)「採用を目的としたメルカリのオウンドメディア」(公式の紹介ページ)メルカリで働くことに関心のある人社員・チームの紹介、社内の出来事、イベントの報告

この表は、各メディアの成果や評価を比べたものではありません。成果の数字は、5 つのメディアを同じ定義で比べられる数字を確かめられなかったため、載せていません。数字の扱い方は、この記事の後半の「事例の数字を確かめる方法」で説明しています。

採用を目的とした事例:mercan

採用を目的にしたオウンドメディアの例として、メルカリの mercan(メルカン)があります。公式の紹介ページは、mercan を「2016年5月26日に創刊された、採用を目的としたメルカリのオウンドメディア」と説明しています(mercanについて、2026年10月13日確認)。

同じページで、コンセプトを「メルカリの“いま”を正しくかつ遠くまで届け、エンパシーの総量を増やす。」とし、メルカリで働く人を軸に、チームの紹介や社内での出来事を発信すると書いています。また、課題を含めて誠実に届けることで共感の声を増やし、「未来の仲間集めに貢献したい」という編集部の考えを示しています。

公開ページでは、記事が「エンジニアリング」「プロダクト・ビジネス」「コーポレート」などの職種に近い分類で整理され、社員やチームを取り上げた記事が並んでいます。採用を目的にする場合、読者は「この会社で働くと何をするのか、どんな人がいるのか」を知りたいため、社員が自分の仕事を語る記事の型が目的に合っています。

自社で採用向けの記事を作るときに移せるのは、目的を「応募の判断材料を届けること」と明確にし、職種ごとの分類と、社員本人の言葉を中心にする作り方です。

見込み客・顧客との関係づくりの事例:SmartHR Mag.

自社の製品を使う業務の担当者に向けて情報を届ける例として、SmartHR が運営する SmartHR Mag. があります。公式の紹介ページは、SmartHR Mag. を「人と組織のためのバックオフィスシステムSmartHRが運営するメディア」とし、人事・労務に関わるすべての人を支援するための情報を届けると説明しています(SmartHR Mag.について、2026年10月13日確認)。

紹介ページが挙げている発信内容は、最新の人事・労務のトレンド情報と専門家の見解、人事・労務領域の法改正情報と業務の進め方、人材マネジメントに取り組む企業の実践事例、SmartHR を活用して課題解決に取り組む顧客の声です。また、メールマガジンの説明では、執筆者に社会保険労務士や弁護士などの専門家をそろえていること、読者がテーマをリクエストできることを案内しています。

この形から読み取れるのは、製品の説明ではなく、製品を使う人の業務上の悩み(法改正への対応や手続き)に答える記事を中心にし、記事の読者をメールマガジンの登録につなげる導線を持っていることです。

法律や制度を扱う記事では、内容が正しいことが特に重要です。専門家が書く・監修する体制は、その分野で信頼を得るための方法の一つです。誰が書いたかを示す方法は「著者情報の書き方」で説明しています。

ブランド・暮らしの提案の事例:サイボウズ式・となりのカインズさん・北欧、暮らしの道具店

自社の価値観や商品の世界を伝え、継続して読まれることを重視する例として、3 つのメディアを紹介します。いずれも製品の説明だけではなく、読者の関心に沿った読み物を中心にしています。

サイボウズ式は、サイトの説明文で「チームワークあふれる社会を作るサイボウズのメディアです。会社や組織のあり方、多様な働き方や生き方について発信していきます」と説明しています(サイボウズ式、2026年10月13日確認)。公開ページでは、記事が「カイシャ・組織」「働き方・生き方」などのテーマで分類され、編集部のメンバーが紹介され、動画のチャンネルも設けられています。自社の製品の分野(チームで働くこと)に近い、より広い話題を扱う型です。

となりのカインズさんは、サイトの説明文で「ホームセンターCAINZが運営する、おせっかいなメディア」とし、専門家や著名人が DIY・ペット・日用雑貨・ガーデニング・アウトドア・掃除・収納など、暮らしづくりに関する話題を届けると説明しています(となりのカインズさん、2026年10月13日確認)。公開ページでは、メーカー・クリエイター・ユーザー・スタッフという人の種類で記事を探せ、記事ごとに書き手の名前が表示されています。株式会社カインズは 2026年6月22日に、ポッドキャスト番組の配信を始めると発表し、「これまで読むメディアであった」となりのカインズさんを耳でも楽しめる場所にするとしています(株式会社カインズのプレスリリース)。

北欧、暮らしの道具店は、運営会社のクラシコムが「2007年にビンテージの北欧食器の専門ECサイトとして始まりましたが、現在では世界中のセレクト商品やオリジナル商品、web記事や、オリジナルのドキュメンタリーやドラマ、ポッドキャストや劇場映画までお届けするようになりました」と説明しています(クラシコム、2026年10月13日確認)。サイトでは、商品の検索と並んで、記事・ビデオ・ラジオを検索でき、販売とメディアが一つのサイトにまとまっています。

3 つに共通して観察できるのは、扱う話題が自社の製品よりも広く、書き手や編集する人の顔が見えることです。この型は、短い期間で問い合わせを増やすことよりも、長く読まれて自社を思い出してもらうことに向いています。成果を測るときは、問い合わせの数だけでなく、継続して読む人や指名検索のような指標も合わせて見ます。成果の測り方は「コンテンツマーケティングとは」で説明しています。

事例の公開ページで観察する点検表

事例を読むときは、紹介記事の説明よりも、そのメディアの公開ページそのものを見ると、作り方が具体的に分かります。次の点検表は、どのメディアにも使える観察の項目です。

観察する項目見るところ読み取れること
目的の書き方「〜について」「About」のページ、サイトの説明文誰に何を届けるメディアか
分類の軸メニュー、カテゴリーの名前読者の探し方(テーマ別・職種別・書き手別)
書き手の表示記事の名前の欄、編集部の紹介誰の経験や専門性を伝えているか
記事の型新着記事の並びインタビュー・解説・事例・報告のどれが中心か
次の行動への案内記事の下、サイドバー、ヘッダーメールマガジン・資料請求・採用ページ・商品ページのどれへ案内しているか
運営者の表示フッター、説明文運営会社が明示されているか
文字以外の形動画・音声の有無読む以外の届け方を持っているか

例として、当サイト(seoagent.jp)にこの点検表を当てはめると、目的は SEO・AI 検索の解説を通じて製品を知ってもらうこと、分類の軸はテーマごとの記事一覧(解説文の付いたトピックページ)、書き手の表示は個人ではなく運営組織、次の行動への案内は製品の機能ページと資料請求です。一方で、当サイトは 2026年に作り直したばかりで、Search Console で 2025年6月16日〜2026年10月6日に記録された検索での表示は表示回数 10・クリック 0 でした。成果を示せる段階ではないため、当サイトは事例として扱っていません。

事例から自社に移せること・移せないこと

事例から自社に移せるのは、目的と読者の決め方、記事の型、次の行動への案内といった「作り方」です。予算・人員・知名度・すでにいる読者のような「条件」は移せません。

事例で見たこと自社でどうする理由
目的が明文化されている自社も目的を 1 つに決め、紹介ページに書く目的が決まると、書く記事と測る指標が決まる
社員・専門家が書き手として表に出ている自社の担当者に話を聞き、名前と役割を添えて記事にする自社にしか無い一次情報になり、誰が書いたかが伝わる
動画や音声も使っているまず記事の形で続けられる体制を作ってから検討する形を増やすほど制作の負担が増える
製品と離れた広い話題を扱っている目的がブランドなら検討する。見込み客の獲得が目的なら、製品を使う業務の悩みに絞る話題が広いほど、問い合わせにつながるまでの距離が長くなる
多くの記事がある記事の数ではなく、読者の問いを一覧にして優先順位を付ける記事の数は結果で、始める時点の目標にはならない

自社に移すときは、次の順で進めます。

  1. 目的を 1 つに決める(採用・見込み客・ブランド・販売のどれか)
  2. 同じ目的の事例を 1〜2 つ選び、上の点検表で公開ページを観察する
  3. 自社の読者が持つ問いを書き出し、事例の記事の型のうち自社で続けられるものを選ぶ
  4. 社内で話を聞ける人と、記事を確かめる人を決める
  5. 記事から案内する先(採用ページ・資料請求・メールマガジンなど)と、測る指標を決める

顧客の声を記事にする導入事例の書き方は導入事例の書き方、成果として何を数えるかは「CV(コンバージョン)とは」で説明しています。

事例の数字を確かめる方法

オウンドメディアの事例に添えられた成果の数字(月間の閲覧数、問い合わせの件数、応募の数など)は、使う前に、誰がいつ、何をどう数えて発表したものかを確かめます。まとめ記事の数字は、運営会社のインタビューや発表の時点の値を引用していることが多く、今の状態を表しているとは限らないためです。

  1. 発表元を確かめる:運営会社の公式発表・公式のインタビューか、第三者の推測かを確かめる。引用元が書かれていない数字は使わない
  2. 時期を確かめる:いつの時点の数字かを確かめる。開設から何年後の値かも合わせて見る
  3. 指標の定義を確かめる:閲覧数(ページビュー)か訪問者数か、月間か累計かを確かめる。定義の違う数字は比べられない
  4. 条件を確かめる:記事の本数、体制、広告の併用など、数字の背景にある条件を確かめる
  5. 記事に書くときは、発表元・時期・指標の定義を数字と一緒に書く

AI 検索の回答で事例の数字を見た場合も、同じように元の発表を確かめます。AI の回答は複数のページをもとに作られるため、古い時点の数字や、指標の違う数字が混ざることがあります。

よくある誤解実際
成功事例の数字は今も同じ多くは発表やインタビューの時点の値。時期を確かめる
閲覧数が多いメディアほど成功している目的が採用や見込み客なら、閲覧数より応募や問い合わせの方が目的に近い
事例と同じ記事を書けば同じ成果が出る知名度・既存の読者・体制が違うため、同じ成果になるとは限らない

数字に日付と条件を添える書き方は一次情報の記事の「記事での見せ方」の節でも説明しています。

よくある質問

BtoBのオウンドメディアの事例はありますか?

あります。例えば SmartHR Mag. は、人事・労務の担当者に向けて、法改正や業務の進め方、企業の実践事例などを発信していると公式の紹介ページで説明しています。サイボウズ式も、会社や組織のあり方、働き方をテーマにしています。目的と読者を確かめてから、自社に合う点を選びます。

成功事例の共通点は何ですか?

この記事で取り上げたメディアに共通して観察できるのは、誰に何を届けるかが公式ページで説明されていること、書き手や編集する人が見えること、読者の関心に沿った記事を中心にしていることです。成果の数字で比べた共通点ではありません。

事例と同じ規模でないと成果は出ませんか?

同じ規模である必要はありません。事例から移すのは目的・読者・記事の型・案内の置き方といった作り方で、記事の数や動画・音声の展開は、続けられる体制ができてから検討します。小さく始める場合は、読者の問いを一覧にして優先順位の高いものから書きます。

SEOAGENTでできること

SEOAGENT では、自社の情報を材料にした記事づくりと、書くテーマの検討を支援します。

  • 自社資料・写真・文体:商品資料やよくある質問、事例などの自社の情報を URL・PDF・テキストで登録し、記事ごとに使う材料を選べます。文体や避けたい表現、記事からの案内先(CTA)も登録できます。
  • 戦略・キーワード調査:サイトの目的・商品・顧客の課題を登録し、検索される言葉と読者の疑問、既存の記事を合わせて書くテーマを検討できます。

できないこと:他社のオウンドメディアの成果を調べたり、事例と同じ成果を保証したりすることはできません。AI に実績や体験を作らせるのではなく、実際に持っている情報を材料にします。

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