この記事の要点:
- SEOのKPIは、最終的な成果(KGI)から逆算して、途中で動く数字を段階ごとに置いたものです。「表示される → クリックされる → 成果につながる」の順に、Search Console と GA4 の数字を割り当てます。
- 目的によって主に見る数字は変わります。問い合わせが目的ならキーイベント、認知が目的なら表示回数や指名検索、のように選び、1 つの目的に見る数字を増やしすぎないようにします。
- 目標の値を決める前に、取り組む前の数字(基準値)を記録し、計測の設定が正しいかを確かめます。基準値が無いと、増えたかどうかを判断できません。
- Search Console と GA4 の数字は、測っているものが違うため一致しません。合計を合わせるより、同じ数字の推移を同じ条件で比べます。
SEOのKPIとは:成果から逆算して置く途中の数字
KPI(重要業績評価指標)とは、目標に近づいているかを途中で確かめるための数字です。最終的に目指す成果を KGI(重要目標達成指標)と呼び、KPI はそこへ至る途中の段階に置きます。
SEOでは、成果(問い合わせや購入)が少なく、すぐには動かないことが多いため、途中の数字が欠かせません。検索からの成果は、次の順で積み上がります。
| 段階 | 何が起きているか | 主な数字 | 見る場所 |
|---|---|---|---|
| 1. 見つけてもらう | ページがインデックスされる | インデックスされたページ数 | Search Console(ページのインデックス登録) |
| 2. 表示される | 検索結果にページが出る | 表示回数、平均掲載順位 | Search Console(検索パフォーマンス) |
| 3. クリックされる | 検索結果からサイトに来る | クリック数、クリック率 | Search Console(検索パフォーマンス) |
| 4. 読まれる | サイトで内容を読む | 自然検索のセッション、エンゲージメント率 | GA4(トラフィック獲得、ランディング ページ) |
| 5. 成果につながる | 問い合わせや購入をする | キーイベント数、キーイベント率 | GA4(キーイベント) |
KPI を決めるとは、この表のどの数字を、どの期間に、どこまで伸ばすかを決めることです。下の段ほど成果に近く、上の段ほど早く動きます。自然検索のセッションが GA4 でどう数えられ、Search Console のクリック数とどう違うかは「オーガニック検索とは」で説明しています。
主な指標の意味と、読み違えやすい点
同じ名前でも、ツールによって数え方が違います。KPI に使う前に、定義を確かめておきます。
| 指標 | 意味(公式の定義の要点) | 読み違えやすい点 |
|---|---|---|
| 表示回数 | 検索結果にサイトへのリンクが表示された回数 | 画面の下のほうで、実際には見られていない表示も含まれる |
| クリック数 | 検索結果からサイトへのリンクがクリックされた回数 | GA4 のセッション数とは一致しない |
| クリック率(CTR) | クリック数 ÷ 表示回数 | 順位や検索結果の形によって大きく変わる。目安の値は無い |
| 平均掲載順位 | 表示されたときの、サイトの最上位の位置の平均 | 表示回数が少ない検索語の順位も平均に含まれる |
| セッション(自然検索) | GA4 で、自然検索から始まった訪問のまとまり | 計測への同意をしない人などは数えられない |
| エンゲージメント率 | エンゲージメントのあったセッションの割合 | 記事の種類によって自然な水準が違う |
| キーイベント | 成果として印を付けたイベント(問い合わせ完了など) | 設定していなければ数えられない。テスト送信が混ざることがある |
目的別に、どの数字をKPIにするか
同じサイトでも、SEOに何を期待するかで主に見る数字が変わります。次の表から、自社の目的に近い行を選びます。
| SEOの目的 | KGI(最終の成果)の例 | 主に見る KPI | 補助に見る数字 |
|---|---|---|---|
| 問い合わせ・資料請求を増やす | 自然検索経由の問い合わせ数 | 自然検索からのキーイベント数 | 成果につながる記事のクリック数、キーイベント率 |
| ネットで商品を売る | 自然検索経由の購入数 | 商品・カテゴリページへの自然検索のセッション | 購入のキーイベント、商品名での表示回数 |
| 社名や製品を知ってもらう | 指名検索の増加 | 指名を含まない検索語での表示回数とクリック数 | 指名検索のクリック数の推移 |
| 採用の応募を増やす | 自然検索経由の応募数 | 採用ページへの自然検索のセッション | 職種名での表示回数 |
| サポートの問い合わせを減らす | 同じ内容の問い合わせ件数の減少 | サポート記事への自然検索のクリック数 | 記事のエンゲージメント率 |
Search Console には、検索語を「指名検索」と「指名以外」に分けるフィルタがあります。Google の説明では、分類は AI を使った内部の仕組みで行われ、誤って分類される検索語もありうるとしています。表示回数が少ないサイトでは使えない場合があります。
KPIの決め方:5つの手順
- KGI を 1 つ決める:「自然検索経由の問い合わせ数」のように、事業の成果と結びつく数字を 1 つ選びます。数え方(何を 1 件とするか)もここで決めます。成果として何を数えるかの考え方は「コンバージョン(CV)とは」で説明しています。
- 計測の土台を確かめる:成果がキーイベントとして数えられているか、Google タグが重複していないかを確かめます。
- 基準値を記録する:取り組む前の数字を、期間と条件を書いて残します(後の節)。
- 途中の KPI を段階ごとに置く:最初の表の段階から 2〜3 個を選び、KGI との関係を式で書きます。
- 見る頻度と判断のルールを決める:何を毎月見るか、どの状態が続いたら何をするかを先に決めます。
KGI と KPI の関係を式で書く
関係を式にすると、どの数字を伸ばせば成果に届くかが見えます。
自然検索経由の問い合わせ数
≒ 自然検索のセッション × 問い合わせのキーイベント率
自然検索のセッション
≒ 検索結果のクリック数(ツールが違うため一致はしない)
検索結果のクリック数
= 表示回数 × クリック率
例:問い合わせが増えないとき、表示回数が増えていなければ「表示される」段階、表示回数は増えたのにクリックが増えなければ「クリックされる」段階に課題がある、と切り分けられます。この例は考え方の説明で、実際の数字の目安ではありません。
例:BtoBサイトのKPIの表
例:産業用の部品を扱う会社が、自然検索からの問い合わせを増やしたい場合の表です。説明用の例で、実在の会社の計画ではありません。
| 段階 | 指標 | 対象 | 見る場所 |
|---|---|---|---|
| KGI | 自然検索経由の問い合わせ数 | 問い合わせの完了 | GA4(キーイベント)と営業の記録 |
| 成果に近い KPI | 製品ページへの自然検索のセッション | 製品ページと事例ページ | GA4(ランディング ページ) |
| 途中の KPI | 指名以外の検索語のクリック数 | 用語や選び方の記事 | Search Console |
| 早く動く KPI | 狙った検索語のまとまりでの表示回数 | 今期に公開・更新した記事 | Search Console |
サイト全体の数字と、今期に手を入れた記事の数字は分けて見ます。全体の数字には、手を入れていないページの上下も含まれるため、施策の効果が見えにくくなります。
目標の値の決め方
目標の値に、誰にでも当てはまる正解はありません。基準値と、自社で動かせる作業量(公開・更新する記事の数など)から決め、決めた根拠も書いておきます。根拠が書いてあれば、達しなかったときに「目標が高すぎた」のか「作業が足りなかった」のかを見分けられます。目標は一度決めたら終わりではなく、四半期など区切りの時期に、実際の推移を見て決め直します。狙う語の群と優先順位を見直す手順は「SEO戦略の立て方と優先順位の決め方」で説明しています。KPI と費用をあわせて費用対効果として報告するひな形は費用対効果(ROI)の測り方で紹介しています。
時期によって、動く数字が違う
Google の「SEO スターター ガイド」は、変更の効果が表れるまでの時間は数時間から数か月まで幅があり、効果を見極めるには数週間待つことを勧めています。このため、取り組みの時期によって判断に使う数字を変えます。
| 時期 | 判断に使う数字 | まだ判断に使わない数字 |
|---|---|---|
| 始めたばかり | 公開した記事がインデックスされたか、表示回数が出始めたか | キーイベント数(少なすぎて上下が偶然に左右される) |
| 表示が出始めた後 | 表示回数とクリック数の推移、狙った検索語で表示されているか | 月ごとの小さな順位の上下 |
| クリックが安定した後 | 自然検索のセッション、キーイベント数とキーイベント率 | 短い期間での比較 |
記事づくりの工程と合わせた時期の考え方はコンテンツSEOの進め方でも表にしています。
KPIにしないほうがよい数字
| 数字 | KPI にしにくい理由 | 代わりに見るもの |
|---|---|---|
| 特定の検索語の順位だけ | 人や場所で表示が変わり、1 語の順位は成果を表さない | 検索語のまとまりでの表示回数とクリック数 |
| 公開した記事の本数 | 作業量で、成果ではない。数を目標にすると内容が薄くなりやすい | 作業の計画として管理し、KPI とは分ける |
| サイト全体のページビュー | 検索以外からの訪問や、成果と関係の薄いページも含む | 自然検索のセッションを、成果につながるページに絞って見る |
| ツール独自の点数 | ツールの考え方による目安で、Google の評価そのものではない | Search Console と GA4 の実測 |
数字の読み方:Search ConsoleとGA4が合わない理由
Google の「Search Console と Google アナリティクスのデータを SEO に使用する」では、2 つの数字が一致しない主な理由を挙げています。
- Search Console は検索結果での出来事を、GA4 はサイトに来た後の行動を測っている
- GA4 は計測への同意をしない人や、計測をさえぎる設定の人を数えられない
- Search Console は米国太平洋時間で日付を区切る
- 正規 URL のまとめ方や、ロボットの除き方が違う
同じ説明で、合計が違っても推移はおおむね同じ形になるとしています。KPI は「どちらの数字を使うか」を決めて固定し、ツールをまたいで合計を比べないようにします。
また、Search Console の検索パフォーマンスで見られるのは過去 16 か月分です。GA4 の探索で使う詳しいデータの保持期間も、設定によって 2 か月か 14 か月です。前の年と比べたい数字は、毎月表に書き出して残しておきます。
AIによる概要がある検索での数字
Google の AI による概要や AI モードでの表示も、Search Console の検索パフォーマンスでは検索タイプ「ウェブ」の数字に含まれます。これとは別に、生成AI機能での表示回数だけを見る「生成AI機能のパフォーマンス レポート」があり、こちらは表示回数だけで、クリック数と検索語を含みません。
KPI に使う場合は、通常の検索パフォーマンスの表示回数・クリック数を主な数字にし、生成AI機能のレポートは「どのページが AI の回答に使われているか」を見る補助にします。AI の回答で用が済む検索が増えると、表示回数が増えてもクリック数が増えにくいことがあるため、クリック率だけで記事の良し悪しを決めないようにします。
数字が動いたときの読み方
| 起きたこと | 考えられること | 次に確かめること |
|---|---|---|
| 表示回数が増え、クリック数は変わらない | 新しい検索語で低い位置に表示され始めた。検索結果の形が変わった | 増えた検索語と、その平均掲載順位 |
| クリック数が増え、成果は変わらない | 成果と遠い記事への訪問が増えた | 入口のページごとのキーイベント率と、記事からの案内 |
| すべての数字が同じ時期に下がった | 計測の不具合、Google の更新、季節 | タグの設定、検索ステータス ダッシュボード、前の年の同じ月 |
| GA4 だけが急に減った | タグが外れた、同意の設定が変わった | Search Console のクリック数が同じように減っているか |
1 か月の上下だけで結論を出さず、数か月の流れと、同じ時期に起きた出来事を合わせて判断します。
基準値の残し方と、毎月の記録
基準値は、期間、対象、取得した場所を書いて残します。当サイト(seoagent.jp)では、改修の前の状態を Site Kit 経由で毎週自動で取得しています。2025 年 6 月 16 日から 2026 年 10 月 6 日までの値は、表示回数 10、クリック 0 で、表示されたのはトップページだけ(平均掲載順位 42.7)でした。GA4 では全体 46 セッション、自然検索からは 0 でした。
このように表示がほぼ無い状態から始める場合、最初に見るべきなのは成果ではなく、ページがインデックスされ、表示が出始めるかどうかです。基準値が 0 に近いと「何倍になったか」は意味を持たないため、増えた件数と、表示された検索語の中身で判断します。
毎月の記録は、次のような表にします。
| 項目 | 記録すること |
|---|---|
| 期間と条件 | 対象の月、検索の種類(ウェブ)、国や端末の絞り込みの有無 |
| KGI と KPI の値 | 決めた数字だけ。前の月と、前の年の同じ月の値 |
| 出来事 | 記事の公開・更新、サイトの変更、Google の更新、季節の要因 |
| 判断 | 続ける・直す・やめる。理由を 1 行で |
SEOのKPI・指標の決め方と関わるAIO・LLMOの基礎の記事は「AIO・LLMOの基礎の記事一覧」にまとめています。
よくある質問
KPIはいくつ置けばよいですか?
決まった数はありません。目的 1 つに対して、段階の違う数字を 2〜3 個にすると、どこで止まっているかを見分けられます。数を増やすと、どれで判断するかが曖昧になります。オウンドメディアの立ち上げ期・成長期・成果期ごとの選び方は「オウンドメディアのKPI」で説明しています。
直帰率はKPIにしたほうがよいですか?
GA4 の直帰率は、エンゲージメントのなかったセッションの割合で、エンゲージメント率の裏返しです。1 ページで答えが済む記事では低くならないこともあるため、記事の種類をそろえて比べる補助の数字として使います。
成果がまだ0件のときは、何を目標にすればよいですか?
成果の手前の段階で動く数字を目標にします。インデックスされたページ数、狙った検索語での表示回数、クリック数などです。同時に、成果が起きたときに正しく数えられるよう、キーイベントの設定を確かめておきます。
順位をKPIにしてはいけないのですか?
使ってもかまいませんが、1 つの検索語の順位だけにしないことが大切です。順位は人や場所で変わり、平均掲載順位は表示された検索語すべての平均です。狙った検索語のまとまりで、表示回数・クリック数と並べて見ます。
外注先から報告される数字は、どう確かめればよいですか?
自社が管理する Search Console と GA4 で、同じ期間・同じ条件の数字を見て照らし合わせます。ツール独自の推定値が中心の報告なら、実測の数字もあわせて出してもらいます。
SEOAGENTでできること
SEOAGENT の SEO 分析では、Search Console と GA4 を連携して、サイト全体と記事ごとのクリック、表示回数、CTR、平均順位、ユーザー、エンゲージメント率を確認できます。「流入と成果」では、GA4 の自然検索からの訪問と、成果として設定したキーイベントを確認できます。
2 つは別のデータとして扱い、取得できない状態を「0件」や「問題なし」とは扱いません。数値は原因を断定するものではなく、次に調べる入口として、記事詳細の「次の一手」から改善の項目へ進めます。
参考情報
- Google 検索セントラル:Search Console と Google アナリティクスのデータを SEO に使用する
- Search Console ヘルプ:検索パフォーマンス レポート
- Search Console ヘルプ:表示回数、掲載順位、クリック数とは
- Google 検索セントラル ブログ:Search Console の指名検索フィルタ
- Search Console ヘルプ:生成AI機能のパフォーマンス レポート(検索)
- アナリティクス ヘルプ:[GA4] キーイベント(コンバージョン イベント)
- アナリティクス ヘルプ:[GA4] エンゲージメント率と直帰率
- Google 検索セントラル:SEO スターター ガイド



