この記事の要点:
- ペルソナとは、商品や記事を届けたい相手を、具体的な一人の人物像として描いたものです。「30 代の会社員」のような層を表すターゲットより、状況や困りごとまで具体的にします。
- SEO・コンテンツでは、年齢や職業よりも「知識の程度」「困りごと」「達成したいこと」「不安」を中心に描きます。これらが、記事で答える問いと、示すべき根拠を決めるからです。
- 1 つの検索語にも、知識や目的の違う読者がいます。記事ごとに読者を 2〜3 人想定し、優先する順番を決めると、構成と本文の判断がぶれにくくなります。
- 人物像は、検索結果、Search Console、問い合わせなどの事実から作ります。年齢や職業などの属性は推測として扱い、作ったら記事の公開後に実際のデータで見直します。
ペルソナとは:届けたい相手を一人の人物として描いたもの
ペルソナとは、商品・サービスや記事を届けたい相手を、具体的な一人の人物として描いた人物像のことです。もともとは製品の設計やマーケティングで使われてきた考え方で、作り手が「だれのために作るのか」を共有するための道具です。
よく似た言葉に「ターゲット」があります。違いは次のとおりです。
| 比べる点 | ターゲット | ペルソナ |
|---|---|---|
| 表すもの | 届けたい人の層(まとまり) | その層の中の、具体的な一人 |
| 書き方の例 | 例:中小企業の総務担当者 | 例:社員 20 人の会社で、勤怠の集計を一人で任されている総務担当者。エクセルの集計に毎月時間がかかり、ミスが不安 |
| 決められること | どの市場・どの人たちに向けるか | どの問いに、どんな言葉と順番で答えるか |
ターゲットは「だれに向けるか」の範囲を決め、ペルソナは「その人にどう伝えるか」を決めます。SEO の記事づくりで役に立つのは、主に後者です。
SEO・コンテンツでペルソナが必要な理由
検索語は短くても、その語で検索する人の事情はさまざまです。例:「勤怠管理 エクセル」と検索する人の中には、初めて勤怠の集計を任された人もいれば、エクセルでの管理に限界を感じてほかの方法を探している人もいます。同じ語でも、知りたいことも、読みたい順番も違います。
読者を決めないまま書くと、次のようなことが起きやすくなります。
- 初心者には難しすぎ、経験者には物足りない、どちらにも合わない記事になる
- 読者が知りたい問いより、書き手が書きやすい話題が多くなる
- 読者が何を見れば信頼できるか(出典、手順、確かめ方)を示し忘れる
Google の有用で信頼性の高いユーザー第一のコンテンツの作成には、自分の確認のための問いとして「ビジネスやサイトに、既存の読者または想定する読者がいて、直接サイトに来たときにそのコンテンツを役立つと感じてくれるか」という趣旨の項目があります。ペルソナは、この「想定する読者」をはっきりさせる道具だと言えます。
検索した人の目的そのものの見分け方は「検索意図とは」で説明しています。検索意図が「その語で何を求めているか」なら、ペルソナは「求めているのはどんな人で、どこでつまずき、何があれば安心するか」を描くものです。
SEO向けのペルソナに入れる項目
一般的なペルソナの例には、名前、年齢、家族、趣味、顔写真などが並ぶことがあります。SEO の記事づくりでは、こうした属性より、記事の中身を決める項目を優先します。
| 項目 | 書く内容 | 記事で決まること |
|---|---|---|
| 検索した状況 | なぜ今、この語で検索したのか | 最初に答えるべき結論 |
| 知識の程度 | 初めて知る/基本は知っている/比べて選ぶ段階 | 用語の説明の量、前提の置き方 |
| 困りごと | 何が分からず、何に困っているか | 記事で答える主な問い |
| 達成したいこと | 読み終えたら、何ができるようになりたいか | 手順や判断表など、記事の形 |
| 不安 | 間違えたら困ること、疑っていること | 示すべき根拠、注意点 |
| 信頼のために必要なもの | 何を見れば信じられるか(公式の説明、手順、確かめ方) | 出典の示し方、確かめる場所の案内 |
| 属性(推測) | 立場、職種、会社の規模など | 例や言葉づかいの選び方 |
最後の「属性」は、検索のデータから推し量ったものにすぎません。本文で「この記事を読むのは〇〇歳の方です」と断定したり、属性に合わせて内容を決めつけたりしないようにします。属性は、例や言葉の選び方を考えるための補助として使います。
ペルソナの作り方:5つの手順
ここでは、記事 1 本ごとに読者を想定するやり方を説明します。SEOAGENT の記事づくりでも、この考え方で記事ごとに読者を 2〜3 人想定し、属性は推測として扱っています。
- 材料を集める:その語の検索結果と上位ページの見出し、検索窓の候補や「他の人はこちらも質問」、Search Console の検索語、問い合わせや営業・サポートで受けた質問を集めます。
- 読者のまとまりを見つける:集めた問いを、知識の程度と目的の違いで分けます。例:「とは」「意味」の問いは初めて知る人、「比較」「選び方」の問いは選ぶ段階の人、という分け方です。
- 2〜3 人に絞り、順番を決める:まとまりごとに一人を描き、その語で検索する人として最も多そうな読者を一番目にします。似た読者を何人も作るより、はっきり違う 2 人のほうが役に立ちます。
- 項目を埋める:前の節の項目を埋めます。材料から言えることと、推測を分けて書きます。推測の欄には「推測」と書き添えます。
- 記事の問いに落とす:それぞれの読者の困りごとを、記事の主な問いにします。一番目の読者の問いに記事の前半で答え、二番目以降の読者の問いは後半の節やよくある質問で答えます。
材料の中でも、Search Console の検索語と、自社に実際に寄せられた質問は、想像ではなく事実です。サイトが新しく Search Console の数字が少ない場合は、検索結果と社内の質問が中心になります。
材料ごとに分かること
材料によって、分かることが違います。1 つの材料だけで人物像を作らず、組み合わせて使います。
| 材料 | 分かること | 注意点 |
|---|---|---|
| 検索結果と上位ページの見出し | その語で、どんな種類のページが求められているか | 上位ページの読者像が、自社の読者と同じとは限らない |
| 検索窓の候補、他の人はこちらも質問 | 読者が使う言い回しと、次に抱く疑問 | だれが検索したのか、検索数は分からない |
| Search Console の検索語 | 自社の記事に実際に表示された検索の言葉 | 新しいサイトや記事では数字が少ない |
| 問い合わせ、営業・サポートの記録 | 購入の前後に実際に聞かれること、不安の中身 | 社内の言葉と検索の言葉がずれていないか確かめる |
サイト全体のペルソナと、記事ごとの読者
ペルソナには、サイトや事業全体で 1 つ決めるものと、記事ごとに想定するものがあります。役割が違うので、両方を使い分けます。
| 種類 | 決めること | 見直す時期 |
|---|---|---|
| サイト全体のペルソナ | どんな顧客のためのサイトか、扱うテーマと扱わないテーマ | 商品・サービスや顧客が変わったとき |
| 記事ごとの読者 | その検索語で来る人の知識・困りごと・不安と、答える問いの順番 | 記事を書くときと、記事を見直すとき |
サイト全体のペルソナだけで記事を書くと、検索語ごとの読者の違いが見えにくくなります。反対に、記事ごとの読者だけを考えると、サイトとして扱うべきでないテーマにまで記事が広がりがちです。サイト全体の方針を決めてから、記事ごとの読者を描く順番がおすすめです。
例:「勤怠管理 エクセル」で想定する3人の読者
手順に沿って読者を描くと、次のようになります。説明用の例で、実在の人物や調査の結果ではありません。属性はすべて推測です。
| 項目 | 読者 1(優先) | 読者 2 | 読者 3 |
|---|---|---|---|
| 属性(推測) | 小さな会社で、勤怠の集計を初めて任された担当者 | エクセルで数年管理してきた総務の担当者 | 会社の管理の方法を見直す立場の責任者 |
| 知識の程度 | 初心者。関数は少し使える程度 | 中級。集計表は自分で作れる | 勤怠の実務の細部は詳しくない |
| 困りごと | 何をどう記録し、どう集計すればよいか分からない | 人が増えて集計に時間がかかり、ミスも出る | 今のやり方を続けてよいか判断できない |
| 達成したいこと | 今月から使える表を作り、集計できるようになる | 手間とミスを減らす方法を知る | 続けるか、ほかの方法に移るかを決める |
| 不安 | 法律で必要な記録を漏らしていないか | 直し方を間違えて、過去の記録が崩れないか | 移る手間と費用に見合うか |
| 信頼に必要なもの | 公的な説明への案内、手順と見本 | 関数の具体的な書き方、確かめ方 | 判断の基準を並べた表 |
この 3 人から、記事の主な問いは「エクセルで勤怠管理を始める手順」「集計の手間とミスを減らす方法」「エクセルを続けるか、ほかの方法に移るかの判断基準」になります。読者 1 が最も多いと考えたので、手順の節を前半に置きます。読者 3 の問いは、記事の後半で判断表として答えます。比較そのものを詳しく知りたい読者は、別の記事に案内します。
この割り当てを見出しにすると、次のような形になります。例:説明用の構成です。
| 見出し(h2) | 主に答える読者 | 答え方 |
|---|---|---|
| エクセルで勤怠管理を始める手順 | 読者 1 | 番号付きの手順と、記録する項目の見本 |
| 記録で漏らしてはいけないこと | 読者 1 | 公的な説明を示し、確かめる窓口を案内する |
| 集計の手間とミスを減らす方法 | 読者 2 | 関数の書き方と、確かめ方 |
| エクセルを続けるか、ほかの方法に移るかの判断基準 | 読者 3 | 判断の観点を並べた表 |
ペルソナを記事の構成と本文に反映する
作ったペルソナは、記事のどこにどう反映するかまで決めて初めて役に立ちます。項目ごとの反映先は次のとおりです。
| ペルソナの項目 | 反映する場所 | 反映のしかた |
|---|---|---|
| 検索した状況 | 冒頭の要点、最初の見出し | 一番目の読者が知りたい結論を、最初に答える |
| 困りごと | 見出し(h2) | 1 つの困りごとに 1 つの節で答える |
| 知識の程度 | 本文の言葉づかい | 初心者が多ければ、専門用語を最初に一言で説明する |
| 達成したいこと | 記事の形 | 手順なら番号付きの一覧、判断なら表にする |
| 不安 | 注意点、よくある質問 | 根拠を示して答える。根拠が無い点は確かめる場所を示す |
| 信頼に必要なもの | 出典、参考情報 | 公式の説明や自社の資料を、該当する箇所で示す |
不安に答えるときは、書き手の推測で「大丈夫です」と言い切らないことが大切です。公式の説明や自社の資料で根拠を示せる点だけを答え、示せない点は「どこで確かめればよいか」を案内します。
よくある失敗と、「ペルソナは古い」と言われる理由
ペルソナは役に立たない、古い、と言われることがあります。多くの場合、作り方や使い方に次のような問題があります。
| よくある失敗 | 起きること | 避け方 |
|---|---|---|
| 趣味や家族構成など、記事に関係しない項目を作り込む | 作るのに時間がかかり、記事の判断に使われない | 記事の中身を決める項目(知識・困りごと・目的・不安)を優先する |
| データを見ずに、想像だけで作る | 実際の読者とずれた記事になる | 検索結果、Search Console、問い合わせなどの事実から作る |
| 理想の顧客を一人だけ描く | 同じ語で来る別の読者の問いに答えられない | 記事ごとに 2〜3 人を想定し、優先する順番を決める |
| 推測の属性で内容を決めつける | 当てはまらない読者を遠ざける | 属性は推測と明記し、言葉や例の選び方にだけ使う |
| 作ったまま見直さない | 読者の変化に記事が追いつかない | 公開後の検索語や問い合わせで見直す |
「古い」という意見の中には、一人の架空の人物に頼るより、実際のデータで読者を分けるほうがよい、という考え方も含まれています。この記事で勧めている作り方も、出発点は検索結果や問い合わせなどの事実です。ペルソナは、その事実を作り手の間で共有し、記事の判断に使える形にまとめたものだと考えると、データとぶつかるものではありません。
記事ごとの読者は、公開後に Search Console の検索語で確かめられます。想定していない語で表示が多ければ、想定していなかった読者が来ている手がかりです。その読者の問いに答える節を足すか、別の記事を用意します。
生成AIでペルソナを作るときの注意
生成 AI にペルソナを作らせると、短い時間でもっともらしい人物像ができます。ただし、AI が作るのは材料をもとにした推測で、実在の読者の調査結果ではありません。使うときは次の点に気をつけます。
- 材料を渡す:検索語だけでなく、上位ページの見出し、Search Console の検索語、社内の質問など、事実の材料を渡します。
- 推測と事実を分けさせる:年齢や職業などの属性は「推測」と書かせ、材料から言えることと分けます。
- 人数を絞らせる:似た人物を何人も作らせず、知識や目的がはっきり違う 2〜3 人にします。
- 記事に書き写さない:AI が作った人物を、実在の利用者の声や調査の結果のように記事に載せません。
指示の例:説明用の書き方で、このとおりに書けば正しい結果が出るというものではありません。
次の材料だけを使って、検索語「勤怠管理 エクセル」で検索する読者を 2〜3 人描いてください。
・材料:上位ページの見出し一覧、検索窓の候補、社内でよく受ける質問(下に貼り付け)
・各読者に:知識の程度、困りごと、達成したいこと、不安、信頼のために必要なもの
・年齢や職業などの属性は、頭に「推測:」と書く
・材料から言えないことは「材料なし」と書く
・最も多そうな読者から順に並べ、その理由を材料から 1 行で書く
よくある質問
ペルソナは何人作ればよいですか?
記事ごとなら 2〜3 人が目安です。人数が多いと、どの読者の問いを優先するかが決めにくくなります。似た読者はまとめ、知識や目的がはっきり違う読者だけを分けます。
名前や顔写真は必要ですか?
チームで人物像を共有しやすくする目的なら付けてもかまいません。ただし SEO の記事づくりで判断に使うのは、知識・困りごと・達成したいこと・不安です。名前や写真を作り込む時間は、材料の確認に使うほうが役立ちます。
BtoB の記事でも、ペルソナは必要ですか?
必要です。BtoB では、実際に検索する担当者と、最終的に判断する責任者が別の人であることが多く、知りたいことも違います。記事ごとに、どちらの問いを優先するかを決めておきます。
ペルソナとカスタマージャーニーは、どう違いますか?
ペルソナは「どんな人か」、カスタマージャーニーは「その人が知る・比べる・決めるまでに、どんな段階を通るか」を表します。ペルソナを決めてから、その人がどの段階でどの語を検索するかを考えると、記事の役割分担を決めやすくなります。
一度作ったペルソナは、いつ見直せばよいですか?
決まった間隔はありません。記事を見直すとき、Search Console で想定外の検索語が増えたとき、商品やサービス、顧客が変わったときに見直します。
SEOAGENTでできること
SEOAGENT では、サイトの方針として、提供する商品・サービス、解決する顧客の課題、対応しない領域、購入前によく聞かれる質問を登録できます。キーワード調査・テーマ選定では、キーワードをもとに上位ページを調べ、検索の目的や関連する言葉を整理し、候補ごとに「具体的な疑問」を一覧で確認できます。
記事の作成は、キーワード設定、SEO分析、記事設定、見出し設定、記事作成の順に進み、本文を作る前に構成を確認できます。ペルソナと関わる記事・サイト改善の記事は「記事・サイト改善の記事一覧」にまとめています。



