この記事の要点:
- BtoB マーケティングとは、企業や団体を顧客とする会社が、見込み客を見つけ、関係を育て、営業が商談にできる状態まで導く活動です。
- BtoC との大きな違いは、買うかどうかを複数の人が決め、比べる材料(資料・比較・社内説明)が多く必要になることです。このため、獲得・育成・選別・商談化の段階に分けて手法と指標を決めます。業種ごとの例として、製造業の検索語とページの作り方は「製造業のSEO」で説明しています。
- 検索からの流入を商談につなぐには、記事を「課題を知る」「比べる」「導入を決める」の段階に分け、段階に合った次の行動(資料請求・相談など)を置きます。
- フォームやメール配信で個人情報を受け取るときは、個人情報保護委員会のガイドラインに沿って利用目的を具体的に示します。「マーケティング活動に用いるため」だけでは具体的とはいえない例として挙げられています。
BtoBマーケティングとは:BtoCとの違い
BtoB マーケティングとは、企業や団体を顧客とする会社(BtoB、Business to Business)が、見込み客を見つけ、関係を育て、営業が商談にできる状態まで導く活動です。広告やイベントで名前を知ってもらうことから、資料請求をした人への情報提供、営業への引き渡しまでを含みます。
BtoC(個人の消費者向け)のマーケティングとの違いは、買う人と使う人と決める人が分かれていることが多い点です。
| 比べる点 | BtoB | BtoC |
|---|---|---|
| 買うかを決める人 | 担当者・上司・決裁者・使う部署など複数 | 本人や家族 |
| 判断の材料 | 費用対効果、導入の手間、社内説明の資料、比較表 | 好み、価格、口コミ |
| 買うまでの流れ | 情報収集 → 比較 → 社内の合意 → 契約。営業との接点がある | その場で決まることも多い |
| マーケティングの役割 | 営業が商談にできる見込み客を、適切な時期に渡す | 購入そのものを増やす |
表は一般的な傾向を整理したもので、商材によって当てはまらない場合もあります。
BtoBの購買の流れ:複数の人が段階を踏んで決める
BtoB の購買は、課題に気づいた担当者が情報を集め、候補を比べ、社内の合意を取ってから契約する、という段階を踏むのが一般的です。段階ごとに、読む人も知りたいことも変わります。
| 段階 | 読み手の状態 | 知りたいこと(例) | 主に関わる人 |
|---|---|---|---|
| 課題に気づく | 困りごとはあるが、解決の方法を知らない | 原因は何か、ほかの会社はどうしているか | 現場の担当者 |
| 解決策を探す | 方法の種類を調べている | どんなやり方があり、何が違うか | 担当者 |
| 比べる | 候補を絞っている | 費用、機能、導入の手間、サポート | 担当者・上司 |
| 社内で合意を取る | 決裁者に説明する材料を集めている | 費用の根拠、リスク、導入した会社の例 | 上司・決裁者・情報システムなど |
| 契約・導入 | 条件をすり合わせている | 契約条件、セキュリティ、導入の手順 | 決裁者・営業 |
表の段階は説明用の整理です。買い手が段階をたどる流れをどう描くかはカスタマージャーニーとはで、読み手の人物像の決め方は「ペルソナとは」で説明しています。
段階ごとの手法:獲得・育成・選別・商談化
BtoB マーケティングの手法は、見込み客を集める「獲得」、関係を深める「育成」、商談にすべき相手を見分ける「選別」、営業に渡す「商談化」の 4 段階に分けると整理しやすくなります。手法の名前を並べるより、どの段階のための手法かを先に決めます。
| 段階 | 目的 | 主な手法 |
|---|---|---|
| 獲得(リードジェネレーション) | まだ接点の無い見込み客に見つけてもらい、連絡先を受け取る | SEO(検索からの記事)、広告、展示会・セミナー、資料ダウンロード、SNS |
| 育成(ナーチャリング) | 接点のある見込み客に、検討に役立つ情報を届け続ける | メール配信、ウェビナー、導入事例、比較・導入の手引きの記事 |
| 選別(クオリフィケーション) | 今商談にすべき相手を見分ける | 行動の記録(資料請求・料金ページの閲覧など)、問い合わせ内容の分類 |
| 商談化 | 営業が受け取り、商談を始める | 営業への引き渡しの基準、問い合わせへの返信、日程調整 |
SEO は主に「獲得」の手法ですが、比較・導入を扱う記事は「育成」にも役立ちます。検索から集める方法と、ほかの集客方法との比べ方は「Web集客とは」にまとめています。
少人数で始めるときの順番
担当者が少ない場合は、すべての手法を同時に始めず、次の順に積み上げます。
- 問い合わせ・資料請求のフォームと、その受け取りの流れ(誰が、いつ返信するか)を整える
- 成果のイベント(資料請求・問い合わせ)を GA4 で数えられるようにする
- 営業がよく受ける質問に答える記事を、比較・導入の段階から書く
- 資料請求した人への情報提供(メールなど)を始める
段階ごとに測る指標の表
BtoB マーケティングの成果は、段階ごとに別の指標で測ります。最後の受注だけを見ると、どの段階で止まっているかが分からないためです。Web サイトの行動は GA4 で、商談と受注は営業の記録(CRM など)で測ります。
| 段階 | 測る指標 | どこで取るか | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 獲得 | 自然検索のセッション、新規ユーザー、資料請求・問い合わせの件数 | GA4(キーイベント)、Search Console | どの記事から来た人が連絡先を残したか |
| 育成 | メールの開封・クリック、再訪問、資料のダウンロード | メール配信の仕組み、GA4 | 接点のある人が検討を続けているか |
| 選別 | 営業に渡す基準を満たした件数 | CRM・営業との共有表 | 基準を満たす相手がどれだけいるか |
| 商談化・受注 | 商談の数、受注の数 | CRM・営業の記録 | マーケティングから渡した相手が商談・受注になったか |
GA4 では、資料請求や問い合わせの送信をイベントとして記録し、「キーイベント」として印を付けると成果として数えられます。アナリティクス ヘルプ「イベントにキーイベントとしてマークを付ける」によると、標準のプロパティでは最大 30 個のイベントをキーイベントにできます(2026 年 10 月 13 日確認)。
当サイトの例:資料請求と問い合わせを分けて数える
当サイト(seoagent.jp)では、資料請求とお問い合わせのフォームを分け、どちらも正常に受け付けたときだけ、GA4 に generate_lead というイベントを 1 回送る作りにしています。ボタンを押しただけ、完了画面を再表示しただけでは送らないため、送信の失敗や二重押しで件数が増えることはありません。
| 決めていること | 当サイトの設定 |
|---|---|
| 成果のイベント | generate_lead(受付が有効なときの初回表示で 1 回だけ) |
| フォームの区別 | パラメータ form_id(お問い合わせ/資料請求) |
| 問い合わせの種類 | パラメータ inquiry_type(フォームで選んだ種類の識別子。種類はサービス資料の請求、デモ・導入の相談、契約・請求、利用中の困りごと、個人情報の取り扱い、その他) |
| 言語 | パラメータ page_language(日本語/英語) |
パラメータの値で件数を分けてレポートに出すには、GA4 でカスタム ディメンションとして登録する必要があります。当サイトはまだ自然検索からの訪問が記録されていない段階(2025 年 6 月 19 日〜2026 年 10 月 9 日の GA4 で自然検索のセッションは 0)のため、件数の評価はしていません。先に数え方を決めておくと、訪問が増えたときに、どの記事からどの種類の問い合わせが来たかを比べられます。
検索からの流入を商談につなぐ記事設計
検索からの流入を商談につなぐには、記事を読み手の段階に合わせて 3 種類に分け、それぞれに合った「次の行動」を置きます。課題を調べている人に、いきなり商談の申し込みを求めても、ほとんど行動されません。
| 記事の種類 | 検索語の例 | 読み手が知りたいこと | 置く次の行動 |
|---|---|---|---|
| 課題の記事 | 「〇〇 原因」「〇〇 とは」 | 困りごとの理由と、解決の方向 | 関連する比較・手順の記事へのリンク、メールでの情報提供 |
| 比較の記事 | 「〇〇 比較」「〇〇 選び方」 | 方法や製品の違いと、選ぶ基準 | 資料請求(比較表・料金を含む資料) |
| 導入の記事 | 「〇〇 導入 手順」「〇〇 費用」 | 導入の流れ、費用、社内での進め方 | 相談・デモの申し込み |
検索語の例は説明用です。記事を作るときは、記事の種類ごとに、どのキーイベントにつながったかを GA4 で見ると、どの段階の記事が足りないかが分かります。
AI検索での扱い
Google の AI による概要や AI モードでも、表示されるために特別な対策は不要で、これまでの SEO の基本が有効だと Google は説明しています。BtoB では、比べる段階の読み手が AI の回答で候補を絞ることも考えられるため、自社の製品の仕様・料金・対応しないことを、自社のサイトに正確に書いておくことが大切です。SaaS の場合の書き方と、比較記事で守る決まりは「SaaSのSEOの記事設計」で説明しています。
フォームとメール配信で守ること:個人情報の利用目的
BtoB マーケティングでフォームから氏名やメールアドレスを受け取るときは、受け取る前に、何に使うかを具体的に示す必要があります。個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」は、ホームページの入力画面から直接本人の個人情報を取得する場合、あらかじめ本人に利用目的を明示しなければならないと説明しています(2026 年 10 月 13 日確認)。
同じガイドラインでは、利用目的は「本人にとって一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に特定することが望ましい」とされ、具体的に特定していない例として「事業活動に用いるため」「マーケティング活動に用いるため」が挙げられています。
| 場面 | 確かめること |
|---|---|
| 資料請求・問い合わせのフォーム | 送信ボタンの前に、利用目的(例:資料の送付、問い合わせへの回答、サービスに関するご案内)と、プライバシーポリシーへのリンクが見えるか |
| メール配信 | フォームで示した利用目的に、メールでの案内が含まれているか |
| 他社との共同セミナー | 参加者の情報を他社に渡すなら、その旨を利用目的で明確に示しているか |
| 名刺交換で受け取った情報 | 利用目的を公表しているか(公表か、取得後の通知・公表が必要) |
当サイト(seoagent.jp)のフォームでは、送信の前に利用目的とプライバシーポリシーを確かめてチェックを入れる欄を設け、チェックが無いまま送ると「利用目的とプライバシーポリシーをご確認のうえ、チェックを入れてください。」と表示します。プライバシーポリシーへのリンクは、表示中の言語で公開しているページだけを示します。個別の判断が必要な場合は、ガイドラインの原文を確かめ、必要に応じて専門家に相談してください。
社内の一次情報を記事にする
BtoB の記事で他社と差がつくのは、営業や導入の現場にある一次情報(自社が直接見聞きした事実)です。よく受ける質問、導入でつまずきやすい点、対応しないことは、一般論をまとめた記事には書けない内容です。担当者を取材して記事にする手順は「BtoBのコンテンツマーケティング」で説明しています。
- 営業・サポートの担当者に、この 3 か月でよく受けた質問を 10 個挙げてもらいます。
- 質問ごとに、答えの根拠(仕様書、料金表、社内の記録)を確かめます。
- 数字を書くときは、日付と条件(何を、いつ、どう測ったか)を添えます。根拠の無い数字は書きません。
- 顧客の名前や成果を出すときは、事前に顧客の許可を取ります。
- 公開前に、営業・サポートの担当者に内容が事実と合っているかを確かめてもらいます。
Google の「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」でも、明確な情報源や専門知識の証左など、内容が信頼できることを示す情報を出しているかを、自分で確かめる問いとして挙げています。
体制の作り方:営業との役割分担
BtoB マーケティングの体制では、マーケティングと営業が「どの状態になったら営業に渡すか」を、言葉と数字で合意しておくことが最も大切です。基準が無いと、マーケティングは件数を、営業は質を求め、互いの成果が見えなくなります。
| 決めること | マーケティングの役割 | 営業の役割 |
|---|---|---|
| 渡す基準 | 基準の案を作り、件数を出す | 商談にできる相手の条件を伝える |
| 渡したあとの記録 | 記事・経路と成果のつながりを見る | 商談・受注の結果を CRM に残す |
| 記事のテーマ | 検索語と読み手の段階から候補を出す | 現場でよく聞かれる質問を出す |
| 振り返り | 月に 1 回、段階ごとの数字を共有する | 商談にならなかった理由を共有する |
よくある質問
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いは何ですか?
BtoB は企業を顧客とし、買うかどうかを複数の人が決め、比較や社内説明の材料が多く必要になります。BtoC は個人を顧客とし、本人の好みや価格で決まることが多いのが違いです。
BtoBマーケティングの代表的な手法は何ですか?
獲得では SEO・広告・展示会・セミナー、育成ではメール配信・ウェビナー・導入事例、選別では行動の記録や問い合わせ内容の分類がよく使われます。どの段階のための手法かを先に決めて選びます。
少人数でも始められますか?
始められます。フォームと受け取りの流れを整え、成果を GA4 で数えられるようにし、営業がよく受ける質問に答える記事から書く、という順に積み上げます。
成果はどの指標で測りますか?
段階ごとに分けて測ります。サイトでは資料請求・問い合わせの件数(GA4 のキーイベント)、営業側では商談と受注の数(CRM など)を見て、どこで止まっているかを確かめます。
SEOAGENTでできること
SEOAGENT では、サイトの方針(提供する商品・サービス、解決する顧客の課題、対応しない領域、購入前によく聞かれる質問)を登録し、それをもとにテーマの候補を確認できます。商品資料・よくある質問・事例などの自社の資料を登録して記事の材料にでき、記事から案内する CTA を「ダウンロード」「問い合わせ」「登録」などの種類から選べます。公開後は、GA4 の自然検索からの訪問と、成果として設定したキーイベントを記事ごとに確認できます。
一方、SEOAGENT はメール配信や CRM(営業の記録)の機能を持つものではありません。商談や受注の記録は、営業側の仕組みで管理してください。
BtoBマーケティングと関わる記事・サイト改善の記事は「記事・サイト改善の記事一覧」にまとめています。



