この記事の要点:
- BtoB SEOとは、企業向けの製品やサービスを扱う会社が、検索から見込み客を集め、問い合わせや資料請求につなげる取り組みです。基本の仕組みは一般向けのSEOと同じですが、狙う語と記事の役割、成果の測り方が違います。
- BtoBの検索語は、検索数が少なくても、比較・費用・導入など、検討が進んだ人の語ほど広告の単価が高く、1件の問い合わせの価値が大きいことが特徴です。Ahrefsのデータで実例を示します。
- 記事は「課題に気づく」「解決策を比べる」「社内で説明する」「導入を決める」の段階ごとに用意し、内部リンクで次の段階へ案内します。
- 成果は、アクセス数ではなく、問い合わせ・資料請求などのキーイベントと、その後の商談につながったかで判断します。
BtoB SEOとは
BtoB SEOとは、企業(法人)を顧客とする会社が、自社のサイトの記事やページを検索結果に表示させ、見込み客に見つけてもらい、問い合わせや資料請求につなげる取り組みです。業務用のソフトウェア、製造業の部品や設備、士業や専門サービス、法人向けの研修などが当てはまります。
検索エンジンの仕組みは、相手が企業でも個人でも変わりません。Googleがページを見つけ、内容を理解し、検索した人に役立つページを表示する、という基本は同じです。違うのは、検索する人の立場と、検索から成果までの道のりです。
| 比べる点 | BtoC(一般向け) | BtoB(企業向け) |
|---|---|---|
| 検索する人 | 自分のために買う人 | 会社の課題を解決したい担当者。決めるのは上司や複数の部署 |
| 検討の期間 | 短いことが多い | 数週間〜数か月。予算の時期に左右される |
| 検索数 | 多い語が多い | 少ない語が多い。専門用語や業界の言葉で探される |
| 1件の成果の価値 | 購入1件の金額 | 契約1件の金額が大きく、継続することも多い |
| サイトでの成果 | 購入、予約 | 問い合わせ、資料請求、セミナー申し込み、無料トライアル |
| 読まれ方 | 本人が読んで決める | 担当者が読み、社内の説明に使う。上司や他部署も読む |
この記事では、BtoBで特に変わる点を中心に説明します。
BtoBの検索語の特徴:Ahrefsのデータで見る
BtoBの検索語は、一般向けの語と比べて検索数が少ないことが多く、「検索数が少ないから狙わなくてよい」と判断されがちです。実例として、企業向けの製品である勤怠管理システムに関係する語の、日本の月間検索数と広告の平均クリック単価(CPC)を、Ahrefsで調べました(2026年10月13日時点)。
| 検索語 | 月間検索数 | キーワード難易度(KD) | CPC(米ドル) | 検索する人の段階 |
|---|---|---|---|---|
| 勤怠管理システム | 9,500 | 42 | 1.70 | 広い(情報収集から比較まで) |
| 勤怠管理 とは | 450 | 0 | 0.40 | 課題や言葉を知る |
| 勤怠管理システム 導入 | 600 | 0 | 0.15 | 導入を考え始めた |
| 勤怠管理システム 費用 | 350 | 0 | 1.90 | 予算を確かめる |
| 勤怠管理システム 比較 | 450 | 4 | 4.00 | 候補を比べる |
| 勤怠管理システム 選び方 | 150 | 0 | 4.00 | 選ぶ基準を探す |
| (参考)ホテル | 155,000 | 0 | 0.35 | 一般向けの語 |
この表から、次のことが読み取れます。
- 比較・選び方の語は、検索数は数百でも、クリックの単価が高い:「比較」「選び方」のCPCは4.00米ドルで、一般向けの「ホテル」の10倍以上です。広告主が高い単価を払うのは、その語で検索する人が契約に近いためです。
- 中心の語は難しく、段階の語は狙いやすい:「勤怠管理システム」はKD 42で、上位には比較サイトや大手が並びます。「導入」「費用」「選び方」はKD 0〜4で、新しいサイトでも上位を目指せる余地があります。
- 語ごとに、検索する人の段階が違う:「とは」で調べる人と「比較」で調べる人では、知りたいことが違います。1本の記事ですべてに答えようとせず、段階ごとに記事を分けます。
購買の段階ごとに必要な記事
BtoBの検討は、1人が1回の検索で決めるものではありません。担当者が課題に気づき、解決策を調べ、候補を比べ、社内で説明し、決裁を得る、という段階を進みます。段階ごとに検索する言葉と、必要な記事が変わります。段階ごとのコンテンツの種類と置く CTA の表は「BtoBコンテンツマーケティングの進め方」にまとめています。
| 段階 | 検索する言葉の例 | 用意する記事・ページ | 次に案内する先 |
|---|---|---|---|
| 課題に気づく | 「〇〇 とは」「〇〇 課題」「〇〇 やり方」 | 用語や課題の解説、業務の手順 | 解決策の比較の記事 |
| 解決策を比べる | 「〇〇 比較」「〇〇 選び方」「〇〇 種類」 | 選び方の基準、種類ごとの向き不向き | 自社の製品ページ、資料請求 |
| 費用と効果を確かめる | 「〇〇 費用」「〇〇 料金 相場」「〇〇 効果」 | 費用の内訳、導入の手順と期間、料金ページ | 導入事例、問い合わせ |
| 社内で説明する | 「〇〇 導入 稟議」「〇〇 メリット デメリット」 | 社内説明に使える資料、よくある質問 | 資料のダウンロード |
| 導入を決める | 製品名、社名、「〇〇 評判」 | 製品ページ、導入事例、会社情報 | 問い合わせ、無料トライアル |
多くの会社は、最後の「製品ページ」だけを用意し、その前の段階の記事が無いため、比較や選び方を調べる段階の人に見つけてもらえません。段階の前のほうの記事は、すぐに問い合わせにはつながりませんが、比較の段階に進んだときに思い出してもらうきっかけになります。
顧客の段階の考え方はカスタマージャーニーとはで、読者像の決め方は「ペルソナとは」で説明しています。
BtoB SEOの進め方:6つの手順
- 営業と顧客の言葉を集める:営業担当者がよく受ける質問、商談で比べられる他社、失注の理由、問い合わせのフォームの記入内容を集めます。検索ツールだけでは分からない、顧客が実際に使う言葉が手に入ります。
- 検索語を段階ごとに整理する:集めた言葉をもとに、検索数と難易度を調べ、上の表の段階に分けます。検索数が少なくても、契約に近い語は優先します。
- 上位のページを読む:狙う語で実際に検索し、上位のページが何に答えているか、何が足りないかを見ます。比較サイトばかりの語と、解説記事が並ぶ語では、勝ち方が違います。
- 自社にしか書けない情報を入れる:自社の導入の手順、実際にかかる期間、よくあるつまずき、業界ごとの違いなど、現場で得た知識を入れます。
- 段階の間を内部リンクでつなぐ:「とは」の記事から「選び方」の記事へ、「選び方」から製品ページや資料請求へ、読者が次に知りたいことへ案内します。
- 成果を測り、直す:記事ごとに、問い合わせや資料請求にどれだけつながったかを見て、表示はあるのにクリックされない記事、読まれているのに次に進まれない記事を直します。
BtoBで成果につながりやすい記事の種類
| 記事の種類 | 内容 | 書くときの注意 |
|---|---|---|
| 課題の解説 | 業務の課題、法律や制度の変更、手順の解説 | 制度や法律は、公式の資料へのリンクと確認した日付を書く |
| 選び方・比較の基準 | 製品を選ぶときに確かめる項目、種類ごとの向き不向き | 自社に有利な基準だけを並べない。自社が向かない場合も書くと信頼される |
| 費用の解説 | 費用の内訳、料金の決まり方、見積もりで確かめる点 | 他社の料金は、公式に公開されているものだけを出典と確認日つきで書く |
| 導入の手順 | 導入までの流れ、期間、社内で準備すること | 自社が実際に支援している手順をもとに書く |
| 導入事例 | 顧客の課題、選んだ理由、導入後の変化 | 顧客の許可を得て、事実だけを書く。数字は顧客が確認したものに限る |
| 用語集・よくある質問 | 業界の専門用語、商談でよく受ける質問 | 1つの質問に1つの答え。関連する記事へリンクする |
BtoBの読者は、記事を社内の説明や稟議の資料に使うことがあります。表や手順を、そのまま引用しやすい形で書いておくと、社内で共有されやすくなります。
専門性と信頼性の伝え方
BtoBの検討では、「この会社に任せて大丈夫か」が問われます。Googleは、コンテンツを「誰が、どのように、なぜ」という観点から評価することを勧め、誰がコンテンツを作成したのかが明確であれば、E-E-A-Tが直感的に理解されやすくなると説明しています(Google 検索セントラル:有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成)。
- 書き手と監修者を示す:記事を書いた人、確認した人の名前、担当している業務、経験を書きます。社内の専門家が確認していれば、それを明記します。
- 根拠を示す:数字や制度の説明には出典を付けます。自社の調査や実績の数字は、調べた時期と対象を書きます。
- 会社の情報を分かりやすくする:会社概要、所在地、問い合わせ先、運営している製品やサービスを、どのページからもたどれるようにします。
- できないことも書く:自社の製品が向かない場合や、対応していない機能を書くと、比較している読者にとって判断しやすくなります。SaaS の機能ページ・比較ページ・料金ページの作り方は「SaaSのSEO」で説明しています。
BtoB SEOの成果の測り方
BtoBでは、アクセス数が増えても、問い合わせや商談が増えなければ成果とは言えません。反対に、アクセス数が少なくても、契約に近い読者が集まっていれば成果につながります。検索以外の手法も含めた、獲得から商談までの段階ごとの指標はBtoBマーケティングとはで整理しています。次の順に数字を見ます。
| 見る数字 | 使う道具 | 分かること |
|---|---|---|
| 表示回数・クリック数・掲載順位 | Search Console | 狙った語で見つけてもらえているか |
| 自然検索からの訪問と、記事ごとのキーイベント | GA4 | 記事から問い合わせ・資料請求に進んだか |
| 問い合わせ・資料請求の件数と内容 | フォーム、顧客管理の仕組み | 検索から来た人がどの段階か、何を求めているか |
| 商談・受注につながった件数 | 営業の記録、顧客管理の仕組み | SEOが売上にどれだけ貢献したか |
問い合わせから受注までに時間がかかるため、受注だけを見ていると、記事の効果を判断するまでに時間がかかります。キーイベント(問い合わせ、資料請求)を記事ごとに見て、早めに改善の判断をします。
指名検索の増加も成果のひとつ
BtoBでは、記事で会社や製品の名前を知った人が、後日、社名や製品名で検索して問い合わせることがあります。Search Consoleの指名検索のフィルタで、社名・製品名での検索が増えているかも確かめます。
BtoB SEOでよくある失敗
| 失敗 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 検索数の多い語だけを狙う | 大手や比較サイトに勝てず、記事が読まれない | 比較・費用・導入など、検討が進んだ人の語から始める |
| 製品の宣伝だけを書く | 課題を調べている段階の人に読まれない | 課題の解説や選び方の記事で、読者の疑問に先に答える |
| 専門用語をそのまま使う | 担当者が上司に説明しにくい | 専門用語には説明を添える。決裁する人が読んでも分かる書き方にする |
| 記事から次の行動が無い | 読まれても問い合わせにつながらない | 記事の内容に合った資料や相談の案内を置く。全記事に同じ広告を置くのではなく、段階に合わせる |
| 営業と情報を共有しない | 顧客の本当の疑問とずれた記事が増える | 営業がよく受ける質問を定期的に集め、記事のテーマにする |
| 数か月で判断してやめる | 効果が出る前に止まる | 公開から効果が出るまでの期間を見込んで計画する(SEOの効果が出るまでの期間) |
AI検索の時代のBtoB SEO
担当者が、検索エンジンだけでなく、ChatGPTやGoogleのAIによる概要などのAIの回答で、製品の選び方や候補を調べることも増えています。AIの回答で自社が正しく紹介されるためにも、自社サイトに、製品の特徴、向いている会社、料金の考え方、導入の手順が、正確に、引用しやすい形で書かれていることが土台になります。
BtoBでAIの回答に備えるときに、特に確かめておきたい点は次のとおりです。
- 製品名と会社名の表記が、自社サイト、外部の掲載先、プレスリリースでそろっているか
- 料金の考え方、対応している業種や規模、導入までの期間が、公開されているページに書かれているか
- 古い料金や終了したプランの説明が、サイトの中に残っていないか
よくある質問
BtoBの商材は検索数が少ないのですが、SEOは必要ですか?
検索数が少なくても、比較・費用・導入などの語で検索する人は契約に近く、1件の問い合わせの価値が大きいため、取り組む意味があります。この記事の例では、「勤怠管理システム 比較」の月間検索数は450ですが、クリックの単価は一般向けの「ホテル」の10倍以上でした(2026年10月13日時点の Ahrefs の値)。
BtoB SEOの効果はどのくらいで出ますか?
決まった期間はありません。記事が検索結果に表示され始めるまでに数か月かかることが多く、そこから問い合わせ、商談、受注までにも時間がかかります。キーイベントを記事ごとに見ながら、段階的に判断します。
製造業や専門サービスでも同じやり方でよいですか?
考え方は同じです。製造業では、部品や材料の名前、規格、加工方法などの専門的な語で検索されることが多く、営業や技術の担当者が持っている知識が記事の材料になります。検索語の分け方と技術資料を記事にする手順は「製造業のSEO対策」で説明しています。
比較記事に他社の製品を載せてもよいですか?
載せる場合は、公式サイトで公開されている情報だけを、出典と確認した日付を付けて書き、事実に基づいて公平に比べます。他社を不当に低く書くと、読者の信頼を失います。
BtoB SEOは社内で進めるのと外部に任せるのと、どちらがよいですか?
製品や業界の知識は社内にあるため、記事の中身は社内の担当者が関わるほうが、ほかに無い記事になりやすくなります。一方で、検索語の調査や技術的な設定、記事を書く時間が足りない場合は、一部を外部に任せる方法もあります。どちらの場合も、成果の指標(キーイベントと商談)は社内で持っておきます。
SEOAGENTでできること
SEOAGENTは、自社サイトで記事を作る企業向けの記事制作の支援ツールです。サイトの戦略をもとにテーマの候補を選び、登録した自社の資料や写真を根拠に記事を作り、公開前に主張を確認できます。公開後は、Search ConsoleとGA4のデータで、記事ごとのクリックやキーイベントを確認し、改善につなげられます。検索順位や問い合わせの増加を保証するものではありません。
BtoB SEOと関わる記事・サイト改善の記事は「記事・サイト改善の記事一覧」にまとめています。
参考情報
- Google 検索セントラル:検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド
- Google 検索セントラル:有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成
- アナリティクス ヘルプ:イベントにキーイベントとしてマークを付ける
- 検索数・キーワード難易度・CPC:Ahrefs キーワードエクスプローラー(日本、2026年10月13日確認)



