この記事の要点:
- YMYL(Your Money or Your Life)とは、人の健康・経済的な安定・安全、または社会の福祉に大きな影響を与えうるテーマのことです。Googleの検索品質評価ガイドラインで使われている言葉です。
- ガイドラインは、YMYLを「健康・安全」「経済的な安定」「行政・市民生活・社会」「その他」に分け、「明らかにYMYL」から「YMYLではない」までの幅があるものとして扱っています。
- YMYLかどうかは、「注意深い人なら専門家や信頼できる情報源を探すか」「友人に軽く聞く程度で済ませるか」の2つの問いで判断できます。
- Googleは、YMYLのテーマではE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の高い内容をより重視すると説明しています。YMYLは罰則ではなく、求められる正確さと信頼性の水準が上がるという意味です。
- YMYLの記事では、公的機関や一次資料の出典、資格を持つ人の確認、更新日と制度の時点、運営者と責任の所在を、読者が確かめられる形で示します。
YMYLとは:人の健康・お金・安全に関わるテーマ
YMYL(Your Money or Your Life、ワイエムワイエル)とは、内容しだいで人の健康、経済的な安定、安全、または社会の福祉や幸福に大きな影響を与えうるテーマのことです。直訳すると「あなたのお金か、あなたの人生か」で、お金と生活に関わる重要な話題を指します。
この言葉は、Googleが検索結果の品質を確かめる評価者のために作っている「検索品質評価ガイドライン」で定義されています。公開されている最新版は2025年9月11日付です(2026年10月14日に原本の表紙で確認)。ガイドラインは、これらのテーマについての内容は害を与える危険が高いため、ページの品質を評価するときに最も慎重に見るべきだとしています。ガイドラインの評価の段階と、評価者の評価が順位に直接影響しないという Google の説明は「検索品質評価ガイドラインの記事」にまとめています。
Googleの検索セントラルの「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」でも、健康、経済的な安定、安全、社会の福祉に大きな影響を与えうるテーマを「YMYL」と呼び、Googleのシステムはこうしたテーマで強いE-E-A-Tを持つ内容をより重視すると説明しています。
YMYLに当たるテーマ:ガイドラインの4つの分類
ガイドラインは、どんな害が起きうるかによって、YMYLのテーマを次の4つに分けています。右の列の例は、分類を理解するために当サイトで挙げたものです。
| 分類 | 起きうる害 | 記事テーマの例 |
|---|---|---|
| 健康・安全(Health or Safety) | 心身の健康、感情面の健康、安全(オンラインの安全を含む)への害 | 例:病気の症状と受診の目安、薬やサプリメントの飲み合わせ、災害時の避難、防犯、パスワードの管理 |
| 経済的な安定(Financial Security) | 自分や家族の生活を支える力への害 | 例:住宅ローンの選び方、税金の申告、投資、保険、年金、高額な商品の購入判断 |
| 行政・市民生活・社会(Government, Civics & Society) | 人々の集団、公共の利益、公的機関への信頼などへの害 | 例:選挙と投票の方法、行政の手続き、補助金の申請、法律や制度の説明、特定の集団についての情報 |
| その他(Other) | 上の3つに当てはまらないが、人や社会に害を与えうるもの | 例:人の生活に大きく関わる判断を左右する話題 |
「医療・金融・法律のサイトだけが対象」と考えがちですが、YMYLはサイトの業種ではなくページのテーマで決まります。たとえば住宅会社のサイトでも、「間取りの考え方」と「住宅ローン減税の条件」では扱いが変わります。
自分の記事がYMYLかを判断する方法
ガイドラインは、YMYLを「当てはまる・当てはまらない」の二択ではなく、幅のあるものとして扱っています。表の見出しは「明らかにYMYL」「YMYLの可能性がある」「YMYLではない、または可能性が低い」の3つで、例として、津波の避難経路の情報(明らかにYMYL)、天気予報(YMYLの可能性がある)、音楽賞の受賞者(YMYLではない)が挙げられています。多くのテーマはYMYLではなく、高い正確さや信頼が必要なわけではない、ともされています。
判断に使う2つの問い
- 注意深い人なら、害を避けるために専門家や信頼できる情報源を探すか。探すなら、YMYLの可能性が高くなります。
- 多くの人が、友人に軽く聞く程度で済ませるテーマか。済ませるなら、YMYLの可能性は低くなります。
判断の例
次の表は、2つの問いを当てはめた説明用の例です。同じ業種でも記事によって判断が分かれることに注目してください。
| 記事テーマの例 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 例:確定申告で医療費控除を受ける条件 | 明らかにYMYL | 誤ると税額や手続きに直接影響し、専門家や公的機関の情報を探すテーマ |
| 例:腰痛のときに避けたい運動 | 明らかにYMYL | 体を痛める危険があり、医師などの情報を探すテーマ |
| 例:リフォームの補助金の申請手順 | YMYLの可能性が高い | 金額が大きく、制度の時点で条件が変わる |
| 例:オフィス家具の選び方 | 内容による | デザインの話ならYMYLではないが、高額な契約やリースの条件まで扱うと経済的な判断に関わる |
| 例:会議の議事録の書き方 | YMYLではない | 友人や同僚に聞く程度で済む |
| 例:季節の料理のレシピ | 基本的にYMYLではない | ただし、アレルギーや食中毒の予防を扱う部分は健康・安全に関わる |
BtoBのサイトも例外ではありません。たとえば、労務・会計・情報セキュリティの手続きや設定を説明する記事は、誤ると読者の会社に金銭的な損失や安全上の問題を生むため、YMYLとして扱うのが安全です。
迷ったら、「この記事の内容を信じて行動した読者が、もし間違っていたらどんな損をするか」を考えます。損が大きく、取り返しがつかないほど、YMYLとして扱います。
YMYLのテーマでは何が変わるのか
YMYLという言葉は、評価者向けのガイドラインの言葉です。評価者の評価は、個別のページの順位を直接決めるものではなく、Googleの検索の仕組みがうまく働いているかを確かめるために使われます。そのうえで、YMYLに関してGoogleが公に説明していることは次のとおりです。
| Googleの説明 | どこに書かれているか | 記事づくりでの意味 |
|---|---|---|
| YMYLのテーマでは、強いE-E-A-Tを持つ内容をより重視する | 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」 | 誰が書き、何を根拠にしたかを示す重要性が上がる |
| 明らかにYMYLのページは、品質の評価で最も慎重に見る | 検索品質評価ガイドライン | 不正確な説明や根拠の無い断定が、より厳しく見られる |
| YMYLの内容は、正確で、確立した専門家の合意に沿う必要がある | 検索品質評価ガイドライン | 独自の説を事実のように書かない。異なる見解がある場合はそう書く |
日本では、2017年12月に、Googleが日本語検索で医療や健康に関する検索結果を改善するためにページの評価方法を変更したと発表しています。YMYLのテーマで、信頼できる情報源の扱いが重視されてきた流れの1つです。診療所のサイトで、医療広告の決まりとあわせて記事を作る進め方は「クリニックのSEO」で説明しています。
AIによる概要でも、健康の話題は慎重に扱われる
検索結果の上部に生成AIの要約を表示する「AIによる概要」でも、Googleは2024年5月に、健康に関する質問について表示の条件を絞り込み、品質の保護を強めたと説明しています。YMYLのテーマでは、AIの要約でも元のページの正確さがより重く問われると考えておくのが安全です。
「YMYLのサイトは順位が上がりにくい」「YMYLのテーマには罰則がある」という意味ではありません。求められる水準が高く、満たしていない記事が評価されにくい、と理解するのが正確です。
YMYLとE-E-A-Tの関係
E-E-A-Tは、経験(Experience)、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)の頭文字です。Googleは、この中で最も重要なのは信頼性だと説明しています。YMYLのテーマでは、とくに信頼性を支える根拠が問われます。
YMYLでは、経験と専門性のどちらが求められるかを、テーマごとに考えます。Googleは、税金の申告を正しく行う方法を知りたいときは会計の専門家の内容が適している一方、申告用のソフトの評判を知りたいときは、実際に使った人の経験が役に立つこともある、と例を挙げています。税理士事務所のサイトで税の記事を書くときの一次資料・確認日の示し方と、税理士会の広告の決まりは「税理士事務所のSEO対策」で説明しています。法律の記事で条文・確認日・監修を示す手順と、弁護士の広告の決まりは「弁護士のSEO」で説明しています。
| 記事の目的 | 重視する根拠 | 例 |
|---|---|---|
| 正しい手順・判断を示す | 専門性(資格・業務の経験)と公的な出典 | 例:税理士が書く控除の条件、医師が確認した受診の目安 |
| 体験を共有し、使い心地や工夫を伝える | 経験(実際にしたこと)。医学的・法的な判断は専門家の情報へ案内する | 例:申告用のソフトを使ってみた記録、住宅ローンを組んだ人の手順の記録 |
YMYLの記事を書くときの手順とチェック表
YMYLの記事は、書く前の準備と公開前の確認に時間をかけます。次の手順で進めると、抜けが減ります。
- テーマと分類を決める:上の2つの問いで、その記事がYMYLに当たるかを決め、どの分類の害が起こりうるかを書き出します。
- 根拠の資料を先に集める:法令、所管の官公庁、公的な研究機関、業界団体のガイドラインなど、一次資料を集めます。どの年度・時点の情報かも控えます。
- 書く人・確認する人を決める:資格や担当業務のある人が書くか、確認します。社内にいなければ、外部の専門家に確認を依頼するか、扱う範囲を「専門家に相談すべき点の整理」までに絞ります。
- 断定の範囲を決める:一般に当てはまること、条件によって変わること、個別に相談が必要なことを分けて書きます。
- 公開前に確認する:下のチェック表で確かめます。
- 見直しの時期を決める:制度改正や新しい公式の発表があったときに直す担当と、定期的な見直しの時期を決めます。
| 確認項目 | 確かめ方 |
|---|---|
| 数字・条件・期限に出典があるか | 本文の該当箇所から、公的機関などの元の資料へリンクしている |
| 情報の時点が分かるか | 「〇年〇月時点」「〇年度の制度」と書き、更新日を表示している |
| 誰が書き、誰が確認したか分かるか | 氏名・資格・担当分野が記事から確かめられる。架空の人物や肩書きを使っていない |
| 運営者と連絡先が分かるか | 運営者情報のページへ、どの記事からもたどれる |
| 断定しすぎていないか | 「必ず治る」「絶対に得をする」のような表現が無い。個別の判断が必要な点は相談先を示している |
| 利害関係を示しているか | 自社商品や紹介料のある商品を勧める場合、その関係が読者に分かる |
| 法令に沿った表現か | 医療・健康食品・金融商品などは、広告や表示の規制が業種ごとにある。所管官庁の案内や専門家で確かめる(歯科医院の例:歯科のSEO対策と医療広告ガイドライン) |
例:本文での出典と時点の書き方
例:補助金の記事で、条件を説明する段落の書き方です。
- 避けたい書き方:「この補助金は最大〇〇万円もらえます。」(いつの制度か、誰が対象か、どこで確かめられるかが分からない)
- 確かめられる書き方:「〇年度の制度では、対象は〇〇を満たす個人で、上限額は〇〇万円です(〇〇省『〇〇の手引き』〇年〇月版)。申請の受付期間は年度ごとに変わるため、申請前に同省の案内ページで最新の情報を確認してください。」
出典は記事末にまとめるだけでなく、数字や条件を書いた文の近くに置くと、読者がその場で確かめられます。
当サイト(seoagent.jp)はYMYLのテーマを扱うサイトではありませんが、記事の構造化データの著者を、管理者のユーザー名から運営組織に改めました。投稿者のアーカイブも無効にし、反映のたびにユーザー名が表示されていないことを確認しています。誰が責任を持つ情報かを、ページの表示とデータの両方でそろえるための作業です。
YMYLの記事でよくある失敗と直し方
| よくある失敗 | なぜ問題か | 直し方 |
|---|---|---|
| 他のサイトの記事をまとめ直しただけ | 元の情報が誤っていれば、そのまま広がる。独自の価値も無い | 一次資料にさかのぼって確認し、自社の業務で得た知見を加える |
| 「監修:専門家」とだけ書く | 誰がどの範囲を確認したか分からず、読者が確かめられない | 氏名・資格・確認した範囲・確認日を示す |
| 制度改正後も古い記事を残している | 読者が古い条件で手続きをしてしまう | 改正の時期に合わせて見直す。古い制度の説明は時点を明記して残すか、更新する |
| 免責の文章を置けば大丈夫と考える | 内容の正確さの代わりにはならない | 免責は補足にとどめ、本文の根拠と表現を整える |
| AIで作った文章を確認せずに公開する | 数字や制度の誤り、存在しない出典が混ざることがある | 資格を持つ人が事実を確認し、作り方を読者が知りたい場面では説明する |
AIを使った記事づくりの注意点は「AIライティングとは」で説明しています。YMYLのテーマでは、コアアップデートのたびに順位が大きく動くこともあります。YMYLと関わるAIO・LLMOの基礎の記事は「AIO・LLMOの基礎の記事一覧」にまとめています。
よくある質問
YMYLのテーマは、個人のブログでは書かないほうがよいですか?
書いてはいけないわけではありません。体験の共有のように、経験そのものに価値がある記事もあります。ただし、手順や判断を示す場合は、公的な出典を示し、専門家への相談が必要な点を明記するなど、読者が確かめられる形にします。
YMYLかどうかをGoogleに確認する方法はありますか?
Googleが個別のページについて「YMYLかどうか」を知らせる仕組みはありません。ガイドラインの2つの問いを使って、自社で判断します。
YMYLの記事には専門家の監修が必須ですか?
必須という決まりはありません。ただ、正確さと専門家の合意に沿うことが求められるため、資格を持つ人が書くか確認し、その人と確認の範囲を示すことが、読者にとっての確かめやすさにつながります。
自社の商品を勧める記事は、YMYLのテーマでは書きにくいですか?
書けますが、勧める理由と根拠を分けて示すことが大切です。商品の効果や性能は、自社の試験の条件と結果、公的な基準など確かめられる根拠と一緒に書き、自社の商品であることを読者に分かるようにします。向かない人や、ほかの選択肢が合う場合も書くと、読者が判断しやすくなります。
E-A-TとE-E-A-T、YMYLの関係が変わったことはありますか?
2022年12月に、評価の観点に経験(Experience)が加わり、E-A-TからE-E-A-Tになりました。YMYLのテーマで高い水準が求められるという考え方は続いています。
SEOAGENTでできること
SEOAGENTは、YMYLのテーマで欠かせない「根拠の確認」を支える機能を備えています。最終的な事実の確認は、資格を持つ担当者が行ってください。
- 品質チェック:記事の主張を資料や出典と照らし合わせ、確認できたものと確認できないものを分けて示します。数字・体験・実績の書き方も確認項目になります。
- 自社資料・写真・文体:使える期間を指定して資料を登録でき、期限を過ぎた資料は記事づくりに使いません。



