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SaaSのSEO:機能・比較・課題の記事設計と、試用・商談までの計測

SaaSのSEOで試用登録や商談を増やすには、検討の段階ごとに受けるページを決め、成果を正しく測ることが欠かせません。検索語とページの対応表、消費者庁の比較広告の考え方、当サイトのイベント設計を例に、記事設計と計測の進め方を説明します。

SaaSのSEO:機能・比較・課題の記事設計と、試用・商談までの計測

この記事の要点:

  • SaaS(インターネット経由で使う月額などのソフトウェア)のSEOは、課題・解決策・製品の分類・比較・指名の 5 段階の検索語に、課題記事・機能ページ・比較ページ・料金ページを 1 対 1 で対応させる設計が要です。
  • 比較記事で他社に触れるときは、消費者庁の「比較広告に関する景品表示法上の考え方」の 3 つの要件(客観的な実証・正確な引用・公正な比較の方法)を守り、他社の情報は公式の公開情報だけを確認日つきで使います。
  • ヘルプやドキュメントは、利用者が検索で答えを探すため、原則として検索に出します。ログインが必要な画面や、内容の無いページだけを noindex にします。
  • 成果は試用登録・資料請求・商談の申込みで測ります。ボタンのクリックではなく、受付が完了したときだけ成果のイベントを送り、GA4 でキーイベントにして、ランディングページ別に見ます。

SaaSのSEOの特徴:検討が長く、比較される

SaaS のSEOの特徴は、検索してから契約までの間に、課題を調べる・解決の方法を知る・製品を比べる・料金を確かめる、といった何段階もの検索があることです。1 本の記事で契約まで進むことは少なく、段階ごとに受けるページを用意し、ページどうしをつなぐことが成果を左右します。

もう一つの特徴は、製品名で比べられることです。比較の検索では、自社の機能ページ・料金ページだけでなく、比較サイトや他社の記事、AI の回答に自社がどう書かれているかも、選ばれるかに影響します。BtoB 全般の検索語の特徴と記事の作り方は「BtoB SEOとは」で説明しています。この記事は、SaaS に特有の機能・比較・料金のページと、試用・商談までの計測に絞ります。

よくある誤解実際
課題の記事を増やせば、試用登録も増える課題の記事から試用までは遠く、機能ページや比較ページへの導線が無いと登録につながりにくい
比較記事では、自社が一番と書けばよい根拠の無い優位の表示は、景品表示法の不当表示になるおそれがある
ヘルプは顧客向けなので検索に出さない利用中の人も検討中の人も、機能の可否をヘルプで確かめる。出さない理由が無ければ出す
CTA のクリック数を成果として数えるクリックは成果ではない。受付が完了したときだけ成果のイベントにする

検索語の5段階とページの対応表

SaaS の検索語は、課題・解決策・製品の分類・比較・指名の 5 段階に分けると、どの段階にどのページで答えるかが決めやすくなります。段階ごとに受けるページを 1 つ決め、同じ段階の検索語を複数のページで取り合わないようにします。

段階検索語の例受けるページ次に案内するページ
課題「請求書 手作業 ミス」課題の解説記事解決策の記事
解決策「請求書 自動化 方法」方法を比べる記事製品の分類のページ・機能ページ
製品の分類「請求書 発行 システム」機能ページ・分類の解説料金ページ・導入事例
比較「(製品名A) (製品名B) 違い」比較ページ・選び方の記事料金ページ・試用登録
指名「(自社の製品名) 料金」「(自社の製品名) ログイン」料金ページ・ヘルプ・ログイン画面試用登録・問い合わせ

検索語の例は説明のための架空の例です。実際の検索語は、自社の製品が解く課題から書き出し、検索数のツールで確かめます。

機能ページ・料金ページの作り方

機能ページと料金ページは、製品の分類・指名の段階の検索で読まれる、SaaS のSEOの中心のページです。機能ページは「何ができるか」を、画面の名前や操作の流れまで文字で書き、料金ページは「いくらで、何が含まれるか」を表で示します。

  • 機能ページ:1 つの機能に 1 ページ。誰のどの作業が、どう変わるかを最初の段落で書き、画面の名前・できること・できないこと・よくある質問を並べる
  • 料金ページ:プランごとの金額(税込か税抜か)、含まれる機能・上限、契約期間、試用の条件を表にする。問い合わせが必要なものは、その旨を書く
  • 導入事例:実在の顧客の了承を得た事例だけを載せ、数字には測った期間と方法を添える
  • 記事からの導線:課題や解決策の記事の本文から、関係する機能ページへ、文脈に合う語句でリンクする

当サイト(seoagent.jp)も SaaS の製品サイトで、機能ページを /features/ の下に 12 ページ置いています。2026-10-13 時点で、日本語のガイド記事 176 本のすべてが、本文から 1 つ以上の機能ページへリンクしています(記事のデータから数えた値)。リンクの多い機能ページは、SEO分析・効果測定(105 本から)、品質チェック(56 本)、記事改善・リライト(50 本)でした。記事の主題に合う機能だけにリンクし、機能ページにはできないことも書いています。事例の書き方は「導入事例の書き方」で説明しています。

比較記事を書くときの決まり

比較記事で他社の製品に触れること自体は禁止されていませんが、景品表示法の比較広告の考え方を守る必要があります。消費者庁の「比較広告に関する景品表示法上の考え方」は、景品表示法は「競争事業者の商品との比較そのものについて禁止し、制限するものではない」としたうえで、不当表示とならないための要件として次の 3 つをすべて満たす必要があるとしています(2026-10-13 に原文の PDF で確認)。

  1. 比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
  2. 実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
  3. 比較の方法が公正であること

同じ文書は、比較の対象となる商品を供給する事業者がパンフレット等で公表し、客観的に信頼できる数値や事実は、実証されているものとして扱えるとしています。また、調査結果を引用するときは、調査機関・調査時点・調査場所などを示すことが適当としています。SaaS の比較記事に当てはめると、次のように書きます。

書くものどう書くか避けること
他社の機能・料金他社の公式サイトで公開されている情報だけを、出典の URL と確認日を付けて書く比較サイトやまとめ記事の数字を使う
比べる項目読者が選ぶときに重要な項目を、各社で同じ条件で並べる自社が有利な項目だけを選ぶ
結論「こういう条件ならこの種類が合う」と、条件で分ける根拠の無い「No.1」「一番」、他社をけなす表現
自社の立場自社の製品の記事であることを明記する第三者の中立な評価のように見せる

他社の料金は変わりやすいため、確認日を付け、定期的に見直します。順位を付けたり、特定の製品を勧めたりする書き方はしません。製品を比べる読者の検索意図は「検索意図とは」で説明しています。

ヘルプ・ドキュメントを検索に出すか

ヘルプやドキュメントは、原則として検索に出します。利用中の人は操作の方法を、検討中の人は機能の有無や制限を、製品名+機能名で検索して確かめるためです。検索に出さないのは、ログインが必要な画面、内容の無いページ、古い版の重複したページに限ります。

検索に出したくないページには noindex を使います。Google は「noindex ディレクティブを有効にするためには、robots.txt ファイルでページやリソースをブロックせず、クローラがページにアクセスできるようにする必要があります」と説明しています(2026-10-13 確認)。robots.txt でブロックすると noindex が認識されず、他のページからリンクされていれば検索結果に表示され続ける可能性がある、とも書かれています。

ページ検索に出すか理由
機能の使い方・設定の手順出す製品名+機能名の検索で、利用者と検討者の両方が読む
よくある質問・制限の一覧出す契約前の不安に答える
リリースノート(更新の記録)出してよい機能の追加を確かめる人がいる
ログイン後の画面・管理画面出さない検索した人が中身を見られない
検索結果・絞り込みの一覧出さない内容が重複し、読む価値が無い

ヘルプをサブドメイン(help.example.com など)に置くかディレクトリに置くかについて、Google は「ビジネスの観点からは、ビジネス上意味があればどちらでも構いません」と説明しています(SEO スターター ガイド)。サブドメインにはサブドメインのサイト名が付き、Search Console もプロパティの登録が必要になる点は、管理の手間として考えます。違いはサブドメインとは、noindex の書き方は「noindexとは」で説明しています。

試用・商談までをGA4で計測する

SaaS のSEOの成果は、試用登録・資料請求・商談の申込みが完了した数で測ります。GA4 では、完了を表すイベントを送り、そのイベントにキーイベントとしてマークを付けると、自然検索から入ったランディングページ別に成果を見られます。キーイベントの設定には、GA4 のマーケティング担当者以上の権限が必要で、標準のプロパティでは最大 30 個のイベントにマークを付けられます(アナリティクス ヘルプ、2026-10-13 確認)。

当サイトのイベントの設計を例に示します。ボタンを押しただけでは成果にしないことが要点です。

イベント送るとき扱い
cta_click資料請求・相談・無料登録のボタンのクリッククリックの記録だけ。成果ではない
form_start問い合わせフォームに最初に入力したとき(1 回)途中でやめた人を数えるため
generate_leadサーバーが問い合わせを受け付けたときに 1 回だけ成果。二重送信や完了画面の再表示では数えない
無料登録の完了製品の画面(別のサブドメイン app.seoagent.jp)で登録が終わったときどこで測るかは未決定。サイトのクリック数と混同しない

このように、登録の画面が製品側の別のドメインやサブドメインにある SaaS は多く、サイトの GA4 だけでは登録の完了が見えません。製品側でも GA4 を設定するか、ドメインをまたぐ計測を設定するかを先に決めます。GA4 の管理画面で generate_lead にキーイベントのマークが付いているかは、この記事の材料(サイトのコード)からは確かめられないため、書いていません。

  1. 成果の定義(試用登録の完了・資料請求の受付・商談の申込み)を決めます。
  2. 完了したときにだけ送るイベントを実装し、DebugView で 1 回の完了が 1 回のイベントになることを確かめます。
  3. GA4 の管理画面で、そのイベントにキーイベントのマークを付けます。
  4. ランディングページのレポートで、セッションのデフォルト チャネル グループを「Organic Search」に絞り、ページ別のキーイベントを見ます。
  5. キーイベントの多いページの検索語を Search Console で確かめ、同じ段階の記事を足すか直します。

指名検索の増え方を確かめる

SaaS のSEOが効いているかは、製品名での検索(指名検索)が増えているかでも確かめます。課題や比較の記事で製品を知った人は、あとで製品名で検索して戻ってくることが多いためです。Search Console のブランド クエリのフィルタを使うと、指名と指名以外の検索を分けて、表示回数・クリック数・平均掲載順位・クリック率を見られます。

Google はこのフィルタについて、ブランド名やその表記ゆれ、ブランドに関連する商品やサービスを含むクエリを、AI を使った内部のシステムで分類すると説明しています。トップレベルのプロパティでのみ使え、十分な量のクエリと表示回数があるサイトでだけ表示されます。分類は誤ることがあり、ランキングには影響しません(Google 検索セントラル ブログ、2025-11-20、2026-03-11 更新)。

  • 指名の表示回数:製品を知っている人の数の目安。課題の記事を増やした数か月後に増えるかを見る
  • 指名以外のクリック:まだ製品を知らない人を集められているかの目安
  • 指名のクリック率:製品名で検索した人が公式サイトを選んでいるか。下がったら比較サイトや他社の記事が上に出ていないかを確かめる

当サイトは、2025-06-16〜2026-10-06 の Search Console の表示回数が 10 回で、指名と指名以外を比べられる量がまだありません。分け方の詳しい手順は「指名検索とは」で説明しています。

AI検索で比較されるときに備える

AI の検索機能で「(分類)のおすすめ」「(製品A)と(製品B)の違い」と尋ねられたとき、回答はウェブ上のページを出典に作られます。備えとしてできるのは、自社の機能・料金・制限を、公式サイトに正確に、最新の状態で、文字で書いておくことです。料金が画像の中にしか無い、機能の制限がどこにも書かれていない、といった状態だと、古い比較記事の情報が回答に使われることがあります。

AI の回答に自社がどう書かれているかは、実際に尋ねて回答と出典を記録して確かめます。回答は尋ねるたびに変わるため、同じ質問を定期的に繰り返して記録します。

よくある質問

SaaSの比較記事で競合の名前を出してもよいですか?

比較そのものは禁止されていません。消費者庁の比較広告の考え方に沿い、客観的に実証された事実を、正確に引用し、公正な方法で比べます。他社の情報は公式の公開情報だけを確認日つきで使い、順位を付けたり、他社をけなしたりしません。

ヘルプページはインデックスさせるべきですか?

原則として検索に出します。利用者と検討者の両方が製品名+機能名で検索するためです。ログイン後の画面や、内容の無い一覧だけを noindex にし、noindex のページは robots.txt でブロックしないようにします。

AI検索でSaaSが比較されるときに備えることは?

機能・料金・制限・対応する環境を、公式サイトに文字で正確に書き、変えたら更新日を示します。AI の回答に自社がどう書かれているかを定期的に尋ねて記録し、誤りがあれば出典のページを確かめます。

試用登録が別のドメインにある場合はどう測りますか?

製品側の画面でも GA4 を設定するか、サイトと製品をまたぐ計測を設定します。どちらにするかを先に決め、サイトのボタンのクリック数と、実際の登録の完了数を別の数字として扱います。

SEOAGENTでできること

SEOAGENT では、提供する商品・サービス、解決する顧客の課題、対応しない領域、購入前によく聞かれる質問をサイトの方針として登録し、テーマの候補を、ページの役割や既存ページとあわせて確認できます。公開後は、Search Console の検索語と、GA4 の自然検索からの訪問・成果として設定したキーイベントを、記事ごとに確認できます。中心の記事と詳しい記事のまとまり(トピッククラスター)の案を確かめ、足りない問いを見ることもできます。

比較記事の他社情報の正しさや、景品表示法に適合しているかの判断は行いません。サイトに計測タグを入れることもありません。検索順位を保証するものではありません。

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