この記事の要点:
- SEO戦略とは、事業の目的に対して、どの検索語の群を、どの順番で、どのページで狙い、何の数字で確かめるかを決めた計画です。個々の作業(施策)を選ぶ前に決めます。
- 立てる順番は、事業の目的と対象の顧客を決める → 検索語を群にまとめる → 優先順位を付ける → ページを割り当てる → 測る数字と見直しの時期を決める、です。
- 優先順位は、検索数・キーワード難易度・事業との近さ・既存ページの有無を並べて決めます。検索数だけで決めないことが要点です。
- 同じ語を複数のページで狙う重なり(カニバリゼーション)は、ページを割り当てる段階で、検索結果の上位 10 件の重なりを見て防ぎます。
- 戦略は四半期ごとに Search Console の数字で見直します。当サイト(seoagent.jp)の記事計画を、戦略の実例として示します。
SEO戦略とは:施策の前に決める「何を・どの順で・どこで」
SEO戦略とは、事業の目的を達成するために、検索でどの読者に、どの検索語で、どのページを見つけてもらうかを決め、優先順位と測り方まで定めた計画のことです。SEO(検索エンジン最適化)の個々の作業を「施策」と呼ぶなら、戦略はどの施策をどの順に行うかを決める上位の判断です。
| 区分 | 決めること | 例 |
|---|---|---|
| 戦略 | 目的、対象の顧客、狙う検索語の群、優先順位、ページの割り当て、測る数字 | 「SEO の内製を考える企業の担当者に、費用と体制の判断材料を届け、資料請求を増やす」 |
| 施策 | 個々の作業 | 記事を書く、title を直す、内部リンクを足す、表示速度を直す |
戦略が無いまま施策を重ねると、検索されない主題の記事や、同じ語を狙う記事が増え、成果につながったかも判断できなくなります。Google 検索セントラルの「SEO スターター ガイド」(最終更新日 2025-12-18、2026 年 10 月 13 日確認)は、変更が反映されるまで数時間から数か月かかり、一般的には数週間待ってから効果を確かめるよう勧めています。結果が出るまでに時間がかかるため、先に順番を決めておくことが大切です。
戦略が無いときに起きやすいこと
- 話題になっている語や検索数の多い語から書き始め、自社の商品を検討する読者に届かない
- 担当者ごとに記事を足し、同じ問いに答える記事が複数でき、どれも順位が上がらない
- 成果のイベントを決めていないため、続けるか見直すかを数字で判断できない
どれも、記事を書く前に「誰の、どの問いに、どのページで答えるか」を決めていれば防げます。
戦略を立てる前に決めること:1枚の戦略シート
戦略を立てる前に、事業の目的、対象の顧客、測る数字の 3 つを決めます。これが決まっていないと、検索語の優先順位を付ける基準がありません。次の表は、戦略を 1 枚にまとめるときの項目の例です。
| 項目 | 書く内容 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 事業の目的 | SEO で何を増やしたいか | 資料請求の数、問い合わせの数 |
| 対象の顧客 | 誰が、どんな課題で、どの段階で検索するか | 自社サイトで記事を作る企業の担当者。始め方・費用・体制を調べる段階 |
| 検索語の群 | 顧客の課題ごとにまとめた語のグループ | 「キーワード調査」「計測」「AI 検索」など |
| ページの割り当て | 群ごとの中心の記事と詳しい記事 | 群ごとに 1 本の中心の記事と、問いごとの記事 |
| 測る数字 | 段階ごとの数字と、見る場所 | 表示回数・クリック(Search Console)、自然検索のセッション・キーイベント(GA4) |
| 体制と期間 | 誰が書き、誰が確かめ、いつ見直すか | 執筆・事実確認・公開の担当、四半期ごとの見直し |
顧客の課題と検索する段階を考えるときは、ペルソナやカスタマージャーニーの考え方が役立ちます。測る数字の決め方は「SEOのKPI・指標の決め方」で説明しています。
狙う検索語の群を決める
狙う検索語は、1 語ずつではなく、顧客の課題ごとの群(クラスター)にまとめて決めます。群ごとに中心の記事と詳しい記事を作ると、ページどうしの役割が明確になり、内部リンクでつなぎやすくなります。
- 顧客の課題を書き出し、課題ごとに検索されそうな語を挙げる
- キーワード調査のツールで、関連する語・サジェスト・「他の人はこちらも質問」を集める
- 同じ答えで済む語を 1 つにまとめる(表記ゆれ、言い換え)
- 課題ごとの群に分け、群の中で中心になる広い語と、個別の問いの語に分ける
- 自社の商品と関係の薄い語、答えられない語を外す
当サイトの記事計画(2026 年 10 月 13 日)では、SEO の情報サイト 9 つが上位 10 位に入れている語のうち検索数 100 以上の語(各サイト上位 250 語、計 2,236 語)に、SEO・AI 検索・GA4 と Search Console・オウンドメディアの語の展開(計 620 語)を足して候補にしました。製品の読者に関係しない語を除き、同じ意図の語をまとめて 1 記事にしたうえで、「コンテンツ」「計測」「テクニカル」「業種別」などの群に分けています。
競合が上位に入れている語で群を補う
自社の顧客の課題から挙げた語だけでは、読者が実際に使う言葉を取りこぼすことがあります。同じ読者を狙う競合のサイトが上位 10 位に入れている語を調べると、群に足りない問いが見つかります。見つけた語は、そのまま狙うのではなく、自社の商品で答えられるか、既存のページと重ならないかを確かめてから群に加えます。競合の調べ方は「SEOの競合分析のやり方」で説明しています。
優先順位の付け方:検索数だけで決めない
優先順位は、検索数、キーワード難易度、事業との近さ、既存ページの有無の 4 つを並べて決めます。検索数が多くても、上位に入るのが難しい語や、商品と関係の薄い語は後回しにします。
| 観点 | 見るもの | 優先を上げる条件 | 優先を下げる条件 |
|---|---|---|---|
| 検索数 | 月間検索数(ツールの推定値) | 群の中で相対的に多い | 0 に近い(ただし商品の説明に必要な語は残す) |
| 難しさ | キーワード難易度、上位 10 件のサイトの強さ | 難易度が低い、上位に強くないサイトも入っている | 上位が強いサイトだけで占められている |
| 事業との近さ | 読者が自社の商品を検討する人か | 読んだ人の課題を自社の商品で解決できる | 商品と関係の薄い話題 |
| 既存ページ | 同じ問いに答えるページがあるか | 答えるページが無い | 既にある(新しく作らず、書き足す) |
当サイトの記事計画では、「事業との近さ(適合度)× 検索数 × 勝ちやすさ」で並べ、優先度を P1〜P3 の 3 段階に分けました。勝ちやすさは、キーワード難易度(KD)が 0〜5 の語と、上位 5 件にドメインの強さを示す指標(Ahrefs の DR)が 40 未満のページを含む語を優先する形で見ています。調査時の 232 本の候補から、既存の記事と検索意図が同じ 48 本を「書き足し」に回し、規則に合わない 72 本を外して、新しい記事を 112 本に絞りました。書く順番は、10 本ずつの束です。
実際の数字で並べた例
次の表は、当サイトが 2026 年 10 月 13 日に Ahrefs(日本)で取り直した数字です。検索数・KD が近い語でも、流入の見込み(1 位のページが関連語も含めて得ている推定の流入)は違います。
| 語 | 月間検索数 | KD | 流入の見込み |
|---|---|---|---|
| クリニック seo | 500 | 0 | 150 |
| ga4 イベント | 400 | 0 | 100 |
| seo戦略 | 300 | 0 | 300 |
| ビッグキーワード | 300 | 0 | 300 |
| seo対策 | 30,000 | 15 | 40,000 |
KD の読み方は「キーワード難易度(KD)とは」で説明しています。
ページの割り当てと重なりの防止
優先順位を付けた語は、1 つの問いに 1 つのページを割り当てます。同じ語を複数のページで狙うと、検索エンジンがどのページを出すかを決めかね、評価が分かれることがあります。これをカニバリゼーションと呼びます。
当サイトでは、新しい記事を書く直前に、主な語の検索結果の上位 10 件を、関係する既存の記事の主な語の上位 10 件と比べています。上位 10 件の URL が 2 件以上重なるか、同じ検索意図なら新しい記事にせず既存の記事に書き足し、重ならない(共通が 0〜1 件)なら両方を残して題名と最初の節で役割を分けます。たとえば「seo戦略」の上位 10 件の通常の検索結果は、「seo対策」とも「seo 競合分析」とも共通が 0 件でした(2026 年 10 月 13 日、Ahrefs)。そのため、この記事は SEO の全体像や競合分析の記事とは分けて、優先順位とページの割り当てに絞っています。
| 状況 | どうする | 理由 |
|---|---|---|
| 上位 10 件の共通が 2 件以上 | 新しく作らず、既存の記事に書き足す | 検索エンジンが同じ意図と見ている |
| 共通が 0〜1 件だが、問いが近い | 両方残し、題名・最初の節・相互リンクで役割を分ける | 意図は別と見られている |
| 既存の記事が 2 本で同じ語を狙っている | 1 本に統合し、残りを 301 で転送する | 評価を 1 本に集める |
体制と期間の計画
戦略には、誰が書き、誰が事実を確かめ、いつ公開し、いつ見直すかまで入れます。体制が決まっていないと、計画した本数が公開されず、優先順位も意味を失います。
- 役割:戦略と優先順位を決める人、書く人、事実と表現を確かめる人、公開と計測を担う人を決める。1 人が兼ねる場合も、確認の工程は分ける
- 期間:公開から数字が動くまでの時間を見込み、判断は数週間〜数か月の単位で行う
- 外部への依頼:Google の「SEO 業者の利用を検討する」(最終更新日 2026-06-10、2026 年 10 月 13 日確認)は、依頼する場合に、期待される結果とその時期、成果の測り方を確かめるよう勧め、掲載順位を保証すると主張する業者には注意するよう書いています
期間の計画の立て方
期間の計画は、公開の予定と、数字を見る時期を分けて立てます。次の表は、立て方の型です。数字が動くまでの時間はサイトと語によって違うため、表の時期は自社で決めます。
| 工程 | 決めること | 確かめる数字 |
|---|---|---|
| 準備 | 戦略シート、計測の設定、基準値の記録 | 今の表示回数・クリック・キーイベント |
| 公開 | 優先度の高い群から、束ごとの公開日 | 計画した本数を公開できたか |
| 初回の確認 | 公開から数週間後に、インデックスと表示を確かめる | インデックスの状態、表示回数 |
| 見直し | 四半期ごとに、群ごとの数字で優先順位を直す | 群ごとの表示回数・クリック・キーイベント |
社内で進める体制の作り方はインハウスSEOとはで、外部に依頼する場合の確かめ方は「SEOの外注」で説明しています。
見直しの手順:四半期ごとにSearch Consoleで確かめる
戦略は、四半期ごとに Search Console と GA4 の数字で見直します。見直すのは、群ごとの表示回数とクリックの推移、記事ごとの掲載順位、成果のイベントです。Search Console ヘルプの「検索パフォーマンス レポート」(2026 年 10 月 13 日確認)によると、レポートは既定で過去 3 か月のクリック数とインプレッション数を表示し、クエリ・ページ・デバイスなどのディメンションで分けて見られます。
- 検索パフォーマンス レポートで期間を前の四半期と比べる設定にし、ページの表を書き出す
- ページを検索語の群ごとに分け、群ごとの表示回数・クリックの増減をまとめる
- 表示回数が増えた群は、詳しい記事を足す候補にする
- 表示回数があるのにクリックが少ない記事は、title と説明文を見直す
- 1 つの語で複数のページが表示されていないかを確かめ、重なりを直す
- GA4 で、群ごとの自然検索のセッションとキーイベントを確かめ、事業との近さの判断を見直す
見直しには、比べる元の数字が必要です。当サイトの Search Console の基準値は、2025 年 6 月 16 日〜2026 年 10 月 6 日で表示回数 10、クリック 0、表示されたのはトップページだけでした。この状態では、群ごとの比較はまだできません。数字が増えるまでは、計画どおりの順番で記事を公開できているかを、見直しの主な項目にしています。
AI検索を戦略に入れる考え方
AI による概要や AI モードが広がっても、戦略の組み立て方は大きく変わりません。Google 検索セントラルの「AI 機能とウェブサイト」(最終更新日 2025-12-31、2026 年 10 月 13 日確認)は、AI 機能に表示されるための追加の要件や特別な最適化は無く、SEO の基本のベスト プラクティスが引き続き有効だと説明しています。
同じ文書は、AI による概要と AI モードが、関連する複数のサブトピックに分けて検索を行い回答を組み立てる「クエリ ファンアウト」を使う場合があると説明しています。このため、1 つの広い語だけでなく、群の中の個別の問いにそれぞれ答えるページをそろえることは、AI 検索にも通じる戦略です。AI 機能に表示されたサイトのデータは Search Console の検索タイプ「ウェブ」に含まれるため、見直しの手順は変えずに済みます。
よくある質問
SEO戦略と施策の違いは?
戦略は、どの顧客に、どの検索語の群で、どのページを見つけてもらい、何の数字で確かめるかを決めた計画です。施策は、記事の作成や title の修正などの個々の作業です。戦略で優先順位を決めてから施策を選びます。
SEO戦略はどのくらいの期間で立てますか?
決まった期間はありません。目的・顧客・検索語の群・優先順位・ページの割り当て・測る数字を 1 枚にまとめられれば、最初の戦略としては十分です。立てた後は、四半期ごとに Search Console と GA4 の数字で見直します。
小さなサイトでも戦略は必要ですか?
必要です。記事を書ける本数が少ないほど、どの語から書くかの順番が成果を左右します。Google は、小規模なローカル ビジネスの経営者はおそらく作業の多くを自分で行えるとし、SEO スターター ガイドから始めるよう勧めています。
AI検索が広がる中で戦略は変わりますか?
組み立て方は大きく変わりません。Google は、AI 機能に表示されるための追加の要件は無く、SEO の基本が引き続き重要だと説明しています。群の中の個別の問いに答えるページをそろえることが、通常の検索と AI 検索の両方に役立ちます。
SEOAGENTでできること
SEOAGENT では、サイトの方針を登録し、検索される言葉と既存の記事を合わせて、書くテーマと順番を検討できます。できないこと:戦略どおりに進めれば順位が上がることを保証する機能はありません。SEO の基礎の関連記事は「AIO・LLMOの基礎の記事一覧」にまとめています。
- 戦略・キーワード調査:サイトの方針を登録し、テーマ候補を「新規」「既存の更新」「統合検討」などの推奨とあわせて確認できます。
- トピッククラスター:中心の記事と詳しい記事のつながりと、足りない問いを確かめられます。
- Ahrefs連携:ご自身の Ahrefs の契約を接続すると、「市場の調査」で競合が獲得している語や検索結果の形などを調べられます。送る前に利用量の見積りを確認できます。
参考情報
- Google 検索セントラル:SEO スターター ガイド(2026 年 10 月 13 日確認)
- Google 検索セントラル:AI 機能とウェブサイト(2026 年 10 月 13 日確認)
- Search Console ヘルプ:検索パフォーマンス レポート(2026 年 10 月 13 日確認)
- Google 検索セントラル:SEO 業者の利用を検討する(2026 年 10 月 13 日確認)



