この記事の要点:
- ファクトチェックとは、情報の真偽を証拠に基づいて確かめる活動です。報道では世の中に広まった情報を検証しますが、企業の記事では、自社が公開する記事の主張を公開前に出典で確かめる作業を指すことが多くなります。
- 記事の事実確認は、主張を「数値・法令・仕様・引用・時期」に分け、それぞれ一次資料(元の発表・原文)で確かめます。まとめ記事や AI の回答は出典として使いません。
- AI で書いた文章は、もっともらしい誤りを含むことがあります。Google は、AI 生成コンテンツを公開する前に手動でファクト チェックを行うことが重要だと説明しています。
- 出典は時間がたつと変わります。確認した日と出典の URL を記録し、公開後も定期的にリンク切れと内容の変化を確かめます。
ファクトチェックとは:情報の真偽を証拠で確かめる活動
ファクトチェックとは、情報が事実に基づいているかを、証拠に基づいて確かめる活動です。総務省の令和5年版 情報通信白書は、ファクトチェックを「情報の真偽を検証する活動」と説明し、インターネット上の偽・誤情報に対抗するために推進が重要だとしています(総務省:令和5年版 情報通信白書「ファクトチェックの推進」、2026年10月13日確認)。
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、自らの活動を「拡散する不確かな情報について、証拠に基づいて真偽を確かめる「ファクトチェック(事実の検証)」」と説明しています(日本ファクトチェックセンター:JFCの設立経緯と組織構造、2026年10月13日確認)。白書は、国内の取り組みとして、非営利団体のファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)や、セーファーインターネット協会(SIA)が設立した JFC を挙げています。
企業が記事を公開する場面では、「ファクトチェック」は自社の記事に書いた数字や説明が正しいかを、公開の前に出典で確かめる作業を指すことが多くなります。この記事では、企業の記事の事実確認の手順と運用を中心に説明します。
報道のファクトチェックと企業の記事の事実確認の違い
報道のファクトチェックと企業の記事の事実確認は、確かめる対象と、結果の出し方が違います。どちらも「証拠で確かめる」点は同じです。
| 項目 | 報道のファクトチェック | 企業の記事の事実確認 |
|---|---|---|
| 対象 | 世の中に広まった他者の発言・情報 | 自社が公開する記事の主張 |
| 時期 | 情報が広まった後 | 公開の前(と公開後の定期的な見直し) |
| 結果の出し方 | 「正確」「不正確」などの判定を記事として公開する | 誤りを直してから公開する。確かめられない点は書かないか、確かめられないと書く |
| 主な担い手 | 報道機関、ファクトチェック団体 | 記事の担当者、編集・確認の担当者 |
文字の誤りや表記のゆれを直す「校正」、内容の矛盾や事実の誤りを確かめる「校閲」との関係でいえば、企業の記事の事実確認は校閲の中心になる作業です。表記の確認も含めた公開前の確認の全体は「校正と校閲の違い」で説明しています。
確かめる主張の見つけ方
事実確認の最初の作業は、記事の中から「確かめる必要がある主張」を抜き出すことです。全文を漫然と読み直すより、主張を一覧にしてから 1 つずつ確かめるほうが、見落としが減ります。
- 本文を読み、次のどれかを含む文に印を付ける:数字(件数・割合・金額・期間)、固有名詞(会社名・製品名・制度名)、断定(「必ず」「〜とされています」)、引用(「」で囲んだ発言・文書)、時期(「現在」「最新」「2026 年から」)
- 印を付けた文を表に書き出し、1 行に 1 つの主張にする(1 文に 2 つの主張があれば分ける)
- それぞれの主張に、確かめる出典の候補を書く
- 出典を開いて確かめ、結果と確認日を記録する
- 確かめられなかった主張は、削るか「確認できない」と書く
「〜と言われています」「一般的に〜です」という書き方は、出典がないことを隠してしまいがちです。誰が言っているのかを確かめられない主張は、言い方を変えるより、削るほうが安全です。
主張の種類別の確かめ方:何の一次資料で確かめるか
主張の種類ごとに、確かめるべき一次資料は決まっています。一次資料とは、その情報を最初に発表した元の資料(公式の発表・原文・原データ)です。目安は次のとおりです。
| 主張の種類 | 確かめる一次資料 | 使わないもの | よくある誤り |
|---|---|---|---|
| 数値(統計・調査の結果) | 調査を行った機関の報告書・公表資料 | 数字を引用しただけのまとめ記事 | 調査の年・対象・条件が抜け落ちる |
| 法令・ガイドライン | 法令の原文、所管する官庁のページ | 解説記事だけ | 改正前の内容のまま |
| 製品・サービスの仕様 | 提供元の公式ヘルプ・公式ドキュメント | 個人のブログの使い方の記事 | 画面の名前や機能が古い |
| 引用(発言・文書) | 発言・文書の原文 | 孫引き(引用の引用) | 言い換えたものを「」で引用している |
| 時期(いつから・現在) | 公式の発表日・更新日 | 記事の公開日 | 「最新」と書いたまま古くなる |
| 他社の料金 | 各社の公式の料金ページ(確認日・税込か税別かを添える) | 比較サイトの金額 | キャンペーン価格を通常価格として書く |
一次資料を自社で持っている場合(自社の調査、自社サイトの計測など)は、それ自体が記事の強みになります。一次情報の集め方と記事での見せ方は「一次情報とは」で説明しています。
人の健康やお金に大きく関わる記事(YMYL)では、とくに確かめる基準を厳しくします。Google は、そうしたトピックでは「コンテンツの精度が高く、確立された専門家のコンセンサスと一致している必要があります」と説明しています(有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成、2026年10月13日確認)。当たるかどうかの判断は「YMYLとは」にまとめています。
どの種類の主張でも、確かめた日を記録します。公式のヘルプや料金のページは予告なく更新されるため、「いつ時点で正しかったか」が分からないと、後から見直すときに、どこから確かめ直せばよいかが分からなくなります。
AIで書いた文章の確かめ方
AI で書いた文章は、主張を 1 つずつ出典と照らし合わせて確かめます。生成 AI は、事実を調べて書くのではなく、もっともらしい文を作るため、出典がない数字や、存在しない資料の名前が混ざることがあります。Google は次のように説明しています(ウェブサイトで生成 AI によるコンテンツを使用するための Google 検索のガイダンス、2026年10月13日確認)。
「生成モデルは事実を取得するのではなく、トレーニング データに基づいて可能性の高い単語のシーケンスを予測します。このため、生成 AI の出力には不正確な情報(ハルシネーションとも呼ばれます)が含まれる可能性があります。AI 生成コンテンツを公開する前に、手動でファクト チェックを行い、正確性と信頼性を確認することが重要です。」
同じガイダンスは、この確認が「<title> 要素、メタ ディスクリプション要素、構造化データ、画像の代替テキストなど、検索結果に表示される可能性のあるメタデータにも適用されます」としています。本文だけでなく、タイトルや説明文も確認の対象です。
- AI が出した文章から、確かめる主張を抜き出す(数字・固有名詞・断定・引用・時期を含む文を 1 行に 1 つずつ表にする)
- AI が示した出典は、実際に開いて、その文が本当に書かれているかを確かめる
- 出典が見つからない主張は削る
- タイトル・説明文・画像の代替テキストも同じように確かめる
「AI が書いた文章かどうか」を判定するツールは、文章の正しさを確かめるものではありません。人が書いた文章でも、AI が書いた文章でも、確かめる方法は同じです。AI を記事づくりに使う手順は「AIライティングとは」で説明しています。
出典の古さ・リンク切れの点検:当サイトの実例
公開時に正しかった出典も、時間がたつと内容が変わったり、ページが消えたりします。事実確認は公開前の一度で終わらせず、定期的に出典を確かめ直します。
当サイト(seoagent.jp)では、2026年10月10日に記事に書いた公式の事実 81 件を原文と照らし合わせ、内容のずれ 5 件と、原文から消えていた 3 件を直しました。たとえば「SEO の効果は 4 か月〜1 年」という記述は、2026年6月5日の改訂で Google の文書から削除されていました。出典の URL が同じままでも、中身が変わることがある例です。
リンクの状態も点検しています。2026年10月13日に、全 127 記事の本文にある外部リンク 326 URL(重複・コード例を除く)を確かめたところ、200 が 293、リダイレクトの後に 200 が 27、403 が 5、名前解決できないものが 1 でした。
完全なリンク切れは 1 件でしたが、公式ドキュメントの構成変更による転送が 27 件あり、うち 1 件は詳しいページから概要ページへの転送で、実質のリンク切れでした。転送先に直せるものは直し、直せないものはリンクを外して注記しました。点検の方法は「リンク切れとは」で説明しています。
当サイトでは、記事を追加したときと 3 か月ごとに同じ点検をすると決めています。定期的な見直しでは、次の点を確かめます。
- 出典のページが開けるか(転送されている場合は、転送先に同じ内容があるか)
- 引用した文が、今も原文に同じ形で書かれているか
- 数字・料金・画面の名前が更新されていないか
- 記事の中の「現在」「最新」という言葉が、今も正しいか
確認の記録と公開前の運用
事実確認は、結果を記録に残して初めて、後から見直せる作業になります。記録には、主張・出典の URL・確認日・確認者・結果の 5 つを書きます。
| 主張 | 出典の URL | 確認日 | 確認者 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| (例:〇〇の機能は△△で設定する) | 提供元の公式ヘルプの URL | 確認した日 | 担当者名 | 一致/ずれあり(直した)/確認できない(削った) |
公開前の運用は、書いた人と確かめる人を分けると、思い込みによる見落としが減ります。人が少ない場合でも、書き終えてから時間を置いて、記録の表を見ながら確かめます。公開までの流れの例は次のとおりです。
- 書いた人が、確かめる主張の一覧と出典の候補を記録の表に書く
- 確かめる人が、出典を開いて 1 行ずつ結果を書く
- ずれがあった主張を直し、確かめられなかった主張を削る
- タイトル・説明文・画像の代替テキストも同じ表で確かめる
- 記録の表を記事と一緒に保存し、次の見直しの日を決める
公開後に誤りが見つかったときは、すぐに直し、内容に関わる訂正であれば、記事の中に訂正したことと日付を書きます。黙って書き換えると、すでに読んだ人や引用した人との間で食い違いが残ります。
検索・AI検索とファクトチェック
Google は、有用なコンテンツの自己評価の質問として「コンテンツに明らかな事実誤認はありませんか」を挙げています。事実の正しさは、検索で評価される「信頼性」の一部です。出典や作り手の情報の示し方は「E-E-A-Tとは」で説明しています。
報道機関などがファクトチェックの結果を検索結果に表示するための構造化データ(ClaimReview)について、Google は 2025年6月12日に、Google 検索での表示を段階的に終えると発表しました(Google Search Central Blog:Simplifying the search results page、2026年10月13日確認)。ClaimReview の説明のページも「Google 検索では、ClaimReview マークアップのサポートを段階的に終了します。ただし、Factcheck Explorer ツールでは引き続きサポートされます」としています(ファクト チェック(ClaimReview)のマークアップ、2026年10月13日確認)。自社の記事の事実確認のために、このマークアップを付ける必要はありません。
AI による概要などの AI の回答は、ページの一部を切り出して使うことがあります。誤りのある 1 文が、前後の文脈なしに使われる可能性があるため、節ごと・文ごとに正しいことが、これまで以上に大切になります。
よくある質問
ファクトチェックと校閲の違いは?
校閲は、文章の内容の矛盾や事実の誤りを確かめる作業全体を指し、企業の記事の事実確認はその中心です。報道の分野でいうファクトチェックは、世の中に広まった他者の情報を検証し、判定を公開する活動を指します。
AIでファクトチェックはできますか?
AI は、確かめる主張を抜き出したり、出典の候補を探したりする手助けには使えます。ただし AI の回答そのものは出典になりません。最後は、人が一次資料を開いて、その主張が本当に書かれているかを確かめます。
出典は何を選べばよいですか?
その情報を最初に発表した一次資料を選びます。統計なら調査を行った機関の報告書、仕様なら提供元の公式ヘルプ、法令なら原文や所管の官庁のページです。まとめ記事や比較サイトは、一次資料を探す手掛かりとして使います。
ファクトチェックに使える窓口やツールはありますか?
世の中に広まった情報の検証結果を探すなら、日本ファクトチェックセンター(JFC)などの団体の記事や、Google の Fact Check Explorer が手掛かりになります。Google は、ClaimReview のマークアップを Fact Check Explorer では引き続きサポートすると説明しています。自社の記事の主張は、一次資料で自分たちで確かめます。
公開後に誤りが見つかったらどうしますか?
すぐに直し、内容に関わる訂正なら、訂正したことと日付を記事に書きます。同じ出典を使っているほかの記事にも同じ誤りがないかを、確認の記録から探して直します。
SEOAGENTでできること
SEOAGENT の品質チェックでは、記事の内容と登録した資料・出典を照らし合わせ、確認できたものと確認できないものを分けて、公開前に確かめる場所を示します。「事実確認」は手動で実行し、結果を「支持されている」「反証されている」「不明」などで示します。チェックは記事の正確性を保証するものではありません。結果を参考に、自社の担当者が出典を確かめてから公開してください。
ファクトチェックと関わる記事・サイト改善の記事は「記事・サイト改善の記事一覧」にまとめています。
参考情報
- 総務省:令和5年版 情報通信白書「ファクトチェックの推進」(2026年10月13日確認)
- 日本ファクトチェックセンター:JFCの設立経緯と組織構造(2026年10月13日確認)
- Google 検索セントラル:ウェブサイトで生成 AI によるコンテンツを使用するための Google 検索のガイダンス(2026年10月13日確認)
- Google 検索セントラル:有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成(2026年10月13日確認)
- Google 検索セントラル:ファクト チェック(ClaimReview)のマークアップ(2026年10月13日確認)
- Google Search Central Blog:Simplifying the search results page(2026年10月13日確認)



